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2023/05/12

2050年に120兆円の市場規模 ~サーキュラーエコノミー戦略まとまる

 経済産業省は3月31日、「成長志向型の資源自律経済戦略」を策定した。また、戦略の実現に向けた今後のアクションとして今夏(6―7月頃)に、①産官学CE(サーキュラーエコノミー)パートナーシップの立ち上げ、②動静脈連携の加速に向けた制度整備の検討――を開始する。

 

 経済産業政策の新機軸の一つとして、「成長志向型の資源自律経済の確立」が位置付けられている。2020年5月に策定した「循環経済ビジョン2020」を踏まえ、資源循環経済政策の再構築等を通じた国内の資源循環システムの自律化・強靱化と国際市場獲得を目指し、総合的な政策パッケージである「成長志向型の資源自律経済戦略」を2022年度中に策定する、としていた。
 この戦略の検討のために、昨年10月に「成長志向型の資源自律経済デザイン研究会」と「資源自律経済戦略企画室(通称:資源自律経済デザイン室)」が立ち上がり、半年間の議論を重ね、戦略を策定した。

 成長志向型の資源自律経済戦略の主な概要は、資源制約によるリスク(資源枯渇、調達リスク増大)、環境制約によるリスク(廃棄物処理の困難性、カーボンニュートラル実現への対応の必要性)、経済活動への影響をあげている。
 従来からの、リニアエコノミーによる、大量生産・大量消費・大量廃棄の社会システムでは、動脈産業の活動を静脈産業がカバーする一方通行の関係であった。
 CE(サーキュラーエコノミーと)いう、市場のライフサイクル全体で、資源の効率的・循環的な利用(再生材活用等)とストックの有効活用(製品のシェアリングや二次流通促進等)を最大化する社会経済システムが現代では求められている。CEに転換しないリスクとして、潜在成長率の低下や世界のビジネスからの排除が予想されている。

 

 

 CEを通じた「新しい成長」では、関連市場規模が世界全体では2030年4.5兆ドル、50年25兆ドル、日本国内では20年50兆円、20年80兆円、20年120兆円に達すると見込まれている。
 今後の成長志向型の資源自律経済の確立に向けた総合パッケージとしては、競争環境整備(規制・ルール)、4R(3R+リニューアブル)政策の深堀り、リコマース市場の整備、海外との連携強化、サーキュラーエコノミー・ツールキット(政策支援・GX先行投資支援策)などを検討している。

 

CE2

 

 資源循環分野において、今後10年間で約2兆円以上の投資が見込まれており、サーキュラーエコノミー投資支援(DX化、標準化、スタートアップ・ベンチャー)を行っていく考えだ。
 また、サーキュラーエコノミー・パートナーシップの立ち上げ(産官学連携)、ビジョン・ロードマップ策定、協調領域の課題解決、サーキュラーエコノミーのブランディングなども想定されている。

(図表は経産省「成長志向型の資源自律経済戦略」より引用)

 

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