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世界に貢献するスタートアップ育成に尽力 ~JVCA主催メディア・プレゼンテーション
2027年までに時価総額100兆円めざす
3月19日、恒例のJVCA(一社・日本ベンチャーキャピタル協会)主催のメディア・プレゼンテーションが新事務所の東京・神谷町の麻布台ヒルズで開催された。
冒頭挨拶に立ったのは、JVCA会長の田島聡一氏(ジェネシア・ベンチャーズ代表取締役)。昨年の総会で選出された、2人会長の一人。「おかげ様で、設立0年、VC/CVC会員が283社、賛助会員を含めると371社の大きな団体に育ってきました」。
今年度の活動方針は、①投資マネーの拡大、②資金循環の促進、③スタートアップ・エコシステムの拡充の3つを挙げている。
「JVCAは2027年までにスタートアップの株式時価総額を100兆円規模にする目標を立てました」。共同会長は郷治友隆氏(東京大学エッジキャピタルパートナーズ代表取締役CEO)。ビジョン&ミッションは「ベンチャーエコシステムの発展拡大による新産業創造を通じて、日本発世界経済の発展に寄与する」を掲げている。
今回のパネルディスカッションでは、「スマート農業・養殖に取り組むスタートアップ」をテーマに、(株)WAKUの姫野亮介代表取締役CEOと(株)さかなドリームの細谷俊一郎代表取締役CEOが登壇した。
姫野氏は元ENEOSの社内ベンチャーの仲間と2022年に立ち上げたスタートアップ。世界の食料問題の解決に、植物の成長に不可欠なグルタチオンという化合物を肥料にする開発を行っている。窒素肥料の千分の1の量で、食料増産が可能な有機農業が実現できる新時代の肥料だ。
細谷氏は、養殖業が直面する「地球沸騰化」による養殖魚の減少に、代理親技法を使って暑さに強く、美味しく量産できる、ハイブリッド魚を開発。ブランド化していくビジネスモデル。この手法は和牛にも使われており、遺伝子組み換えもなく、遺伝子かく乱も起こさない、安全な養殖魚が作れる画期的な手法だ。
日本のベンチャーも変化してきた。安全・安心を考慮しつつ、画期的なアイデアで世界に貢献していく若者の姿を見るのは楽しい。
米国VC投資額が36%減、VC投資に見直し感
JVCAのメディアプレゼンテーションの調査報告に立った森敦子ユーザベースINITIALシニアアナリストによると、「米国の2023年のVC投資総額は前年比35・9%減の1324億ドル1万1116件に留まった。金利上昇による資金調達環境の悪化やマクロ経済の不透明感などにより新興企業への投資を控える動きが広まったことが減少の要因」と分析した。
これを受けて、2023年のタートアップ資金調達額が22年の3575億円から同22・8%減の2828億円と近年、右肩上がりで増えてきたVC投資に一服感漂い始めた。JVCAの渡辺洋行副会長は「株価が高騰していて100億円以上の投資額や1社当たり3億円以上投資は余り変わりがないが、50億円以下は上場益が見込めないので投資が急減している。
それよりも、新規VC設立数が21年比べ4割減っているのが痛い。ここが今後の課題」と表情を曇らせた。
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