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2024/06/06

ロッキード事件の闇 今こそ政治改革を「いでよ、政治家」 ~編集主幹 高橋成知

 ロッキード事件と言えば、「田中角栄」という名前が出てくる世代は多いだろう。しかし、今の「Z世代」にとって田中は?なのであろう。一国の首相が米国のロッキード社から民間航空機の売り込みのため5億円を受け取った疑惑。前代未聞の大疑獄事件に発展し、マスコミの報道は過熱、毎日事件のニュースが載らない日はなかった。
しかし、本当に首相にそんな権限があるのか?検察の主張は、証言のみ。物的な証拠がないので弁護士団がそこをつけば、起訴されることはなかったと、作者、真山仁氏はいう。

 

 「ハゲタカ」で有名なノンフィクション作家の真山仁氏がこの不透明な問題をコツコツとし調べ、「ロッキード」として1冊にまとめ上げてくれた。巷いわれる「角栄は米国の石油メジャーのしっぽを踏んだから」とか「米国の頭越しに中国との国交を回復させたから」という陰謀説は間違いであることを気づかせてくれる。

 

 角栄の資源外交で実現したプロジェクトはゼロであったし、中国の周恩来と米国のキッシンジャーは、「眠れるハイドを起こすな」との日本観で一致しており、「日米安保の瓶の蓋論」に同調していた。
その意味で、今の自民党のパーティのキックバック問題の比ではなかった。しかし、今太閤と小学卒から総理大臣に上り詰めた人への裏金への“妬み”と”怒り“は金権政治の撲滅へ、すさまじい勢いで国民の世論を一方向へもっていってしまった。検察も裁判所もその影響を受けている。
 結局、この事件は、ニクソン大統領が後ろ盾となっていた米国最大の軍事企業であるロッキード社を救済しようと、750億円の緊急融資を実現させた。その後、ニクソン大統領がウォーターゲート事件で失脚しなければ、「ロッキード事件」は起きなかったようだ。