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3つの市場の回復に期待 ~日本工作機械工業会 専務理事 柚原一夫氏に聞く
日本の工作機械産業の現況と見通し
工作機械の受注はコロナ禍で落ち込んでいたが、2021年2月頃から急速に回復、右肩上がりで回復して2022年3月に1.6兆円のピークを迎えた。
その後、ロ‐ウ戦争が始まり徐々に低下、今年の8月には1兆円にまで落ち込んだ。工作機械は設備投資のための機械なので、買い替えや景気サイクルの波の影響がどうしても出る。
今、受注の7割が外需であり、北米市場と中国市場、日本市場がそれぞれ3分の1ずつを占めている。9月の統計を見ると、日本は約30%増。半導体製造装置向けはまだ様子見状態。自動車は数年後のモデルチェンジの動きがまだ本格化してきていない。
半導体製造装置の商談ではAI関連が目立つが、エレクロトニクス製品や車載、DX関連の拡大が待たれている。
中国は自動車関連での世界市場を見据えた積極的な投資が続くものと見られ、金型など各種産業機械や通信機器での意欲的な企業によるまとまった投資や補助金効果の継続が見込まれ、高原状態が続くと見ている。
北米では、ジョブショップが多い金属製品向けが多く、IMTS(シカゴショ―)を見ても、商談は活発化だし、今後の金利の先安観から徐々に盛り上がってくる。
自動車はEVの開発方針の逡巡、金融動向、欧州景気の低迷、中東情勢等リスク要因が表れて、設備投資に対する慎重な姿勢がやや強まってきていた。しかし、JIMTOF2024では、初披露される新製品・新技術が多数出展されるので、受注増加の局面に入ることを期待している。
今回は、学生にこの業界を知ってもらおうと、南館にアカデミックコーナーを設け、工作機械メーカーとの面談コーナーを開設している。工場の今のイメージは、モニターを見ながらのデジタル操作となっているので女性でも働ける職場となってきている。
日本の中小企業は機械を大切にメンテナンスしながら使用するため、耐用年数がどうしても長くなる。中国や米国などは最新のマシンを使いたがり、デジタル化が急速に進んでいる。より設備更新を図って競争力をつけてもらおうと、現在、中小の設備の実態を調査中だ。場合によっては、買い替え促進の助成策が必要になってくるかも知れない。
(一般社団法人日本工作機械工業会 専務理事 柚原一夫氏(写真)談)
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