社告  令和6年1月の能登半島大地震ならびに9月の能登豪雨に見舞われた被災者の皆様に 心よりお見舞い申し上げます。    経済産業新報社

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2021/08/11

コラム AI発展に必要な社会環境の在り方(2)

NeoX社代表取締役の何書勉(ホー・シュウメン)氏は京大大学院の情報研究科博士課程を修了した情報工学(AI)の専門家だ。日本のAIに関する提言を6回に渡って紹介する。その第2回。

 

「AI育て」にやさしい社会に向けて (2)

 

人類社会は数千年の歴史をたどって、豊かな文明を築いてきた。数千年の歴史と比べ、人工知能・AI技術の歴史は数十年と短く、掃除ロボットや自動運転技術が人々の暮らしを大きく変え始めたのはたった5年ぐらい前からだ。
一部の重複作業、定型業務においては、AIの処理速度は遥かに人間を凌駕しているものの、現段階では一台のコンピュータに搭載されるAI機能は限られている。

人間のように、歩く・話す・聴く・数学問題を解くなど複数の処理が同時にできるAIがまだ存在していないし、ヒューマノイド(人型ロボット)以外の分野では研究がなされていない。「人類を滅ぼすAI」は所詮SFの世界で描かれるもので、AIはプログラムの一種である以上、人間によって定められたタスクしかうまく処理できないのだ。

 

AIの有用性を評価する指標として、しばしば「速度」と「精度」が使われる。これも人間とよく似ており、早くて要領よく仕事できる社員が会社から高く評価されるのは言うまでもない。また、新人が一人前のベテランになるまで相当の時間を要し、その過程の中で試行錯誤を重ねていく。AIにとっても同じような成長過程が大切だ。

(続きは経済産業新報・本紙にて)