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事業者の自己変革をテーマに ~2022年版中小企業白書・小規模企業白書まとまる
4月26日、2022年版中小企業白書・小規模企業白書がまとまり、閣議決定され発表された。
今年の白書では、中小企業・小規模企業を取り巻く経営環境が、2年に及ぶ新型コロナウイルス感染症の流行、原油・原材料価格の高騰、部材調達難、人手不足など外部環境に直面している動向、引き続き厳しい状況にある点を踏まえ、企業事例を交え、分析している。
今回の白書では、事業者の自己変革をテーマにウィズコロナ、アフターコロナの各フェーズにとって、事業者にとって必要な取組みを取り上げている。
ポイントは4つ。①足下の感染症への対応、②企業の成長を促す経営力と組織、③小規模事業者における事業見直し・地域課題の解決、④共通基盤として取引適正化とデジタル化、経営力再構築伴走支援。
1つめでは、2021年は政府の資金繰り支援策などの効果もあり、わが国の倒産件数は6030件と57年ぶりの低水準となった。一方、新型コロナ関連破綻の件数は昨年9月から4カ月連続で月別件数として過去最多を更新、月別件数は増加傾向にある。
2つめは、中小企業の成長を促すための取組みとして、ブランド構築や人的資本への投資を始めとする無形資産投資に今回着目している。ブランド構築について、ブランドコンセプトの明確化や従業員への浸透などを行うことや 人的資本への投資について、経営者が積極的に計画的なOJTやOFF-JTを実施し、従業員の能力開発を進めることが重要だ、としている。
3つめは、小規模事業者は、積極的に事業見直しに取り組んでいるが、事業見直し時に様々な課題にも直面しており、事業見直しにおける支援機関の役割は重要と位置付けている。
地域課題の解決に向けては、他の事業者との協業を行う小規模事業者は、支援機関のネットワーク・ノウハウを活用することが重要としている。
4つめは、コスト変動への対応だけでなく、中小企業における賃上げといった分配の原資を確保する上でも、取引適正化は重要であり、価格転嫁に向けては、販売先との交渉機会を設けることが必要としている。
デジタル化の進展に取り組みでは、新たなビジネスモデルの確立につながる段階への到達を目指すことが重要であり、経営者自らが自己変革を進めるためには、支援機関との対話を通じて経営課題を設定することが重要。
そのためにも、第三者である支援者・支援機関が、経営者等との信頼関係を築き、対話を重視した伴走支援を行うことが有効であると、まとめている。
事業再構築の取組みの好例として、佐賀県嬉野市の和多屋別荘が紹介されている。利益率の低い「一泊二食」の従来型ビジネスモデルから脱却、経営資源を生かし、サテライトオフィス事業を開始、「泊まる→通う旅館」をコンセプトに有名テナントを誘致。安定した賃料を確保し、収益を下支え、知名度も向上。
既存事業とのシナジー効果を感じながら、事業再構築に成功している。
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