社告  令和6年1月の能登半島大地震ならびに9月の能登豪雨に見舞われた被災者の皆様に 心よりお見舞い申し上げます。    経済産業新報社

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2024/01/10

経済産業省幹部年頭所感 九州経済産業局長 苗村 公嗣

新生シリコンアイランド九州へ

 令和6年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 

 わが国経済は、30年ぶりの高水準となる賃上げや、国内投資が100兆円を超える見通しとなるなど、経済の本格的な回復と成長に向けた「新しい経済ステージ」に移行できる大きな転換期を迎えています。一方で、エネルギー・原材料価格高騰、人手不足や地域社会の維持など、事業者の皆様をとりまく経営環境は予断を許さない状況です。

 このような中で、九州が成長・発展を遂げていくためには、この転換期をチャンスと捉え、絶えず新たな取組に挑戦することが重要です。

 

 九州経済産業局では、地域の産業や経済の健全で持続可能な成長・発展の実現と、事業者の皆様の新たな挑戦を後押しするため、以下のような取組を進めてまいります。

 中小企業の省力化投資支援などを通じ、人手不足への対応や生産性向上を支援します。投資や賃上げで地域経済を牽引する成長志向の中堅企業への支援にも取り組みます。

 足元の賃上げの動きを維持・拡大するため、中小企業と大企業との共存共栄を目指す「パートナーシップ構築宣言」をはじめ、適切な価格転嫁や取引適正化を推進します。物流の停滞が懸念される「2024年問題」に関しては、関係省庁と連携して荷主企業・元請事業者の理解と協力を促していきます。

 

 人手不足が恒常化する中、経済社会活動を維持・発展させていくためには、デジタル技術を活用することが必要であり、地域企業のDXを後押ししていきます。また、イノベーションの担い手であり、高付加価値製品やサービスを生み出すスタートアップ企業や、変革・挑戦志向の次世代経営層との連携強化を進めます。

 コロナ禍を乗り越えたものの、物価高の影響などにより厳しい状況におかれている中小企業等に対しては、経営改善、金融、事業再生、再チャレンジを支援します。また、近年頻発する自然災害に対応するため、自治体や関係機関とも連携しつつ、中小企業の事業継続力の強化にも取り組みます。

 

 円安をプラスに捉え、地域の「稼ぐ力」を強化するべく、企業の海外展開を支援します。九州、韓国、中国の経済交流の枠組みであり、今年秋に大分県で開催される「環黄海経済・技術交流会議」などの機会を活用し、海外との経済交流の促進、九州の投資環境や魅力の発信に取り組みます。

 国際的な経済安全保障の観点からは、特に現代社会にとって不可欠な戦略物資である半導体分野において、人材の育成と確保、サプライチェーンの強化を進め、「新生・シリコンアイランド九州」の実現を目指します。

 エネルギー分野においては、安定供給確保に万全を期すとともに、カーボンニュートラルの実現に向けて、九州におけるGXを推進します。九州地域のポテンシャルが高い洋上風力発電について、産学官で構成する「九州洋上風力関連産業ネットワーク」の活動を通じた九州地域のサプライチェーン構築や、持続可能な社会を実現するための循環経済(サーキュラーエコノミー)の取組も進めます。

 

 持続的な賃上げや活発な投資が牽引する「成長型経済」への転換に向けた成功モデルを、九州から数多く生み出せるよう、ひとつひとつの取組を丁寧に実行してまいります。そして、関係機関の皆様と手を携えながら、「未来につなぐ、活力ある九州の実現」に向けて職員一丸となって挑戦していきます。

 

 本年が皆様方にとって実り多き飛躍の年になることを願いまして、新年の御挨拶といたします。

 

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