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企業の研究開発を支えるマイクロフェーズ ~つくば発ベンチャー企業の横顔
筑波大学発のベンチャー企業であるマイクロフェーズは、ナノテクノロジーの研究開発分野に強みを持つ。次世代リチウムイオン電池負極材へのカーボンコート技術やバイオマス由来のポーラスカーボンの研究開発に取り組む同社の太田慶新代表取締役社長に、同社の歩みと事業の展望について聞いた。
――マイクロフェーズの歩みは
私は研究者として、先端的な基礎研究に取り組んできましたが、自分の研究が実際に社会の役に立っているのか疑問を抱くようになりました。そこで、社会貢献の仕方を少し変えてみようと思い立ち、1999年にマイクロフェーズを設立しました。企業は研究の成果が客観的に評価される点が魅力です。
つくばには、研究開発のインフラが充実しており、ベンチャーを起こすに当たって環境が良いというメリットがありました。
2002年にナノカーボンチューブの研究開発が科学技術振興機構(JST)の委託開発事業に採択されたことが転機となって、当社はナノテクノロジーの研究開発企業として知られるようになりました。
その後、大手電機メーカーからリチウムイオン電池の負極材として研究が進められていたシリコンの表面にカーボンの膜をコートするプロセスの依頼を受けたことを契機に、化学気相成長法(CVD)によるカーボンコート技術にも取り組むようになりました。
――現在、力を入れている事業は
現在は、次世代リチウムイオン電池負極材へのCVDカーボンコート技術と回転型CVD装置、バイオマス由来のポーラスカーボンの研究開発に力を入れています。
カーボンコートの方法はいくつかありますが、CVD法がパフォーマンスに優れているようです。当社は、粉末試料をムラが少なく均一に処理することができる回転型CVD装置を開発しました。
次世代リチウムイオン電池負極材へのカーボンコートについては、既に実験段階を終え、大量生産という商業段階に進みつつあります。現在、プロセスの改良とスケールアップに取り組んでいます。
(続きは、経済産業新報・本紙で)