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日本の電機産業の復権に向けたシナリオ ~経産省が果たすべき役割への提言
特別論説⑥ 東京理科大学 若林秀樹教授
今から50年前の「日本列島改造論」では、小長啓一氏はじめ各省庁の多くの官僚が一丸となって政策実現に向け貢献したという。「過度な東京集中や公害環境問題を食い止め、地方を振興」という政策に共鳴、新しい日本列島を再構築しようという官僚の志があった。
令和時代に求められる経産省の役割
結果は必ずしも当初の目的を達成したわけではないが、日本の新幹線や高速道路網は実現した。東京と地方の格差を無くし、富を再配分するという政策は当時の世論調査でも大多数が支持 し、当時、裏日本に住む中学生だった自分も期待と高揚感を覚えている。
「デジタル日本列島改造」は、交通網でなく、情報通信光電網で、日本列島をDX、電機や半導体産業を強化、老朽化した当時のインフラをDXで蘇らせるものだが、この政策実現も経産省だけでなく、全省庁、地方自治体、が一丸となり、これに産学も一緒になることが必要だ。
TSMC誘致等で注目されている経産省の半導体デジタル産業戦略検討会議や経産省と総務省のデータセンタ政策も、要はデジタル日本列島改造に繋がっていく。
日本列島改造は田中氏中心だったが、今回は、岸田総理のデジタル田園都市構想、甘利氏はじめとする半導体議連など、心ある与野党議員のチームワークだ。役所も、経産省だけでなく、総務省や国交省、文科省、デジタル庁が連携している。
懐疑的に見ていた関係者も粛々と政策が現実味を帯びていることで、見方が変わり、評価が高まっているようだ。これらは、GOTOキャンペーンの悪い印象や不祥事のマイナスを補って、経産省を中心に官僚への再評価となるだろう。
2030年ターゲットのこうした政策群が実現すれば、50年後には、ここが日本も電機半導体産業も、復活の転換点だったと評価されるであろう。
(続きは、経済産業新報・本紙で)