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BOOK 西山圭太著、冨山和彦解説『DX思考法』
DX(デジタルトランス・フォーメーション)関連の本は数ある中で、一番わかり易く、DXの真髄を見事に解説し、これからのビジネス社会のあり方を考えさせられる佳書である。
著者は元経産省商務情報政策局長。オックスフォード大留学経験を持ち、産業再生機構、東電再建、産業革新機構執行役員もこなした、国際的に知られたビジョナリー。現在は、東大未来ビジョン研究センターの客員教授。
この本の優れている点は、DXをIT業界特有の、単なる「流行り言葉」に終わらせず、デジタル時代の歩き方をITシステムの発展の歴史から紐解いて、「今何か、決定的変化が起こりつつある」と解いていることだ。
そして、アリババのビジネスモデル、GAFAを超えるネットフリックス、
ダイセル・網干工場、インド10億人のプラットフォーム「インディア・スタック」など刺激的な例から、今世界は、ソフトウエアのレイヤー構造、「ミルフィーユ化」している点を紐解く。
そして、抽象化、アーキテクチャーがDXでいかに必要かをまとめている。著者のテーマは、日本経済復活への戦略にある。解説の冨山和彦氏によれば、GAFAMには余りオリジナルな発明はないが、手持ちのネタにビジネスアーキクチャ思考で、大きな付加価値を生み出した「パクリの名人」と言っている。
この本には日本企業の復活のヒントがある。
『DX思考法』
西山圭太 著 冨山和彦 解説
文芸春秋 刊、1500円+税