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従来不可能だった情報理論的安全で高速な処理を実現 ~量子セキュアクラウドによるゲノム解析システムの開発に成功
NICT(国立研究開発法人情報通信研究機構。徳田英幸理事長)、京都大学(湊長博総長)、東芝(島田太郎代表執行役社長CEO)、ZenmuTech(ゼンムテック、田口善一代表取締役社長CEO)は、量子セキュアクラウドにゲノム解析専用装置を装備し、全ゲノムデータの安全な伝送・保管・解析をリアルタイムで実施できるシステムの開発に成功した。
個人のゲノムデータは究極の個人情報であり、超長期に秘匿性を担保しつつ利用する必要がある。しかし、現時点では従来の暗号技術での秘匿化に留まっており、2030年頃に実現されるフルスケール量子コンピュータを用いれば解読されるおそれがあった。
現時点では、ほぼ不可能であった全ゲノムデータに対し、情報理論的安全な暗号化処理を施すことにより、ゲノム解析専用装置の処理速度を損なうことなく、情報理論的安全なデータ解析を実現した。
今後、この技術は、超長期に保管が必要な患者のMRI画像データなどの安全な利活用を可能とする新しいデータプラットフォームとして活用されることが期待され、機能実証めざす、としている。
なお、この成果は、11月2日に、英国科学雑誌「Scientific Reports」に掲載された。
今回、この研究グループは、将来どのようなコンピュータが出現しても盗聴のリスクのない情報理論的安全な通信を可能とする量子暗号ネットワーク上に、情報理論的安全なデータ保管を可能とする秘密分散プロトコルを実装した量子セキュアクラウドを形成した。
さらに、ゲノム解析専用装置(全ゲノム解析を高速処理する専用ハードウェア)を物理的安全に実装し、情報理論的安全なデータ解析ができるシステムを開発した。
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