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2023/04/27

オープンスマートハウス完成 ~URとINIADが共同でモデル作り

 2030年未来の住まいは?スマートフォンが当たり前の時代に、住生活はどうなっていくのか?UR都市機構とINIADcHUB(東洋大学情報連携学部・学術実業連携機構)が東京・旧赤羽台団地の住戸をリノベーションし、AIやIoTを駆使した「オープンスマートハウス(生活モニタリング住戸)」を完成させた。

 

 URと東洋大は、Haas(ハウジングOS)の採用をコンセプトに、「オープン・スマートUR研究会(坂村健会長)を19年に立ち上げ、住まい手に合わせた内装やスマート技術を実装した“カスタマイズモデル”、低年齢の子供一人の子育て向けと、高齢者夫婦世帯向けの2戸を完成させた。
 今回のコンセプトは、「すばやく変われる設備(アジャイルファシリティ)」。住宅設備は多数のハードウエアの固まりで作られており、変更が難しい。そこで、ハウジングOSというプラットフォームを作り、ソフトウエアで照明、戸締り、風呂沸かしなどの操作を全て行ってしまおうというもの。

 今後10~20年までの情報通信機器は劇的に変わることを想定したオープンスマートハウスなのである。実際、見学会で見た部屋は60年代のものだけに39平方㍍と狭く、その中にセンサー類が100個以上埋め込まれているが、人には見えない工夫がなされている。

 

オープンスマートハウス

 

 設計は坂村氏自身が担当、室内は木質系、間接照明を駆使したストレスのない空間・環境に配慮した「長く過ごせる」住宅となっている。スマホの操作で、リビングと寝室が1部屋で実現する移動式ロボット家具など数々の新技術が盛り込まれていた。
 見守りカメラ、サーモイメージセンサー、ミリ波レーダー、環境センサーなど住戸のあらゆるデータを収集し、今後の住まいに役立てていくのであろう。

 

 JR赤羽駅からほど近い、1962年に開発された旧赤羽台団地(登録有形文化財)は3373戸の大団地であったが、老朽化と耐震化などにより、建て替えが行われ、現在は「ヌーヴェル赤羽台」として生まれ変わっている。
 URにはこのような住戸がストックとして70万戸あるのだそうだ。この研究会には建設や住設機器、通信大手など67社の住宅関連の企業が参画している。今後の団地のリノベ―ションがどこまで進むのか興味深い見学会であった。

 

(詳細は経済産業新報・本紙4月15日号で。電子版試読キャンペーン実施中。)