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人流・物流、商流・金流のDXを実現 ~データ連携基盤、ウラノス・エコシステム
わが国のデータ連携基盤のための取組が見えてきた。経産省と関係省庁も含め、IPAのDADC(デジタルアーキテクチャ・デザインセンター)らが取りまとめている「ウラノス・エコシステム」の動きを、経済産業省商務情報政策局情報経済課長 須賀千鶴(すがちづる)氏にお聞きした。
明るく、ハキハキした美声で答えてくれたのが須賀課長。わが国のデータ連携に関する取組を「ウラノス・エコシステム」と名付け、現在、企業や業界を横断したデータ連携に関する取組である、ウラノス・エコシステムへの理解増進のため、各方面への説明に行脚している。
ウラノスとは、ギリシャ神話に出てくる天空の神のこと。今、IPAのDADCやNEDOとともに、運用や管理を行うものが異なる複数の情報処理システムの連携を行うため、アーキテクチャの設計、研究開発・実証、社会実装・普及に取り組んでいる。
「例えば、カーボンニュートラルの動き1つとっても、サプライチェーンの各段階でどのくらいCO2を排出しているのか、消費者に知らせることが、これまでは技術的に不可能だった。最近のデジタル技術を使ってデータをつなぎ合わせることで、その提供が可能になってきている」。
欧州は、すでにGaia-Xや自動車向けCatena-Xといったイニシアティブを通じて、データ主権やデジタルプラットフォーム間の相互運用性の確保、ソースコードのオープン化を実現しながら、安全にデータ連携する取組を進めている。
グローバル競争の中で、「売れない」「買えない」「覗かれる」といった3つの危機が起きてきており、企業のデータ主権を守りながら、企業を跨いで、データを共有・活用するためのプラットフォームを構築する必要がある。
「これは国が主導して進めて行く分野で、産業競争力強化のため、日本企業が賢く、低コストで繋ぐことができる、プラットフォームの提供を目指しています。」
業界ごとの縦割りなデータ基盤ではなく、あらゆる業界のデータにアクセス権があり、政府が出せるデータ、出せないデータをしっかり管理して安全・安心に運用していく仕組みなのである。
「データガバナンスをしっかり管理していくことがウラノスのポイントです。当面は、金流・商流のDXでは、蓄電池・自動車に関するサプライチェーンデータ連携基盤から、人流・物流のDXでは、ドローン、自動車、インフラ等に関する4次元時空間情報基盤から、取組を開始します。」
壮大な計画ではあるが、来年度からサービスが開始されるという。
「今水面下で、どのような事業体がどこと組むかを話し合ってもらっている段階で、年度内には見えてくるはず」とのこと。
日本の産業競争力強化の女神になれるか?ウラノス・エコシステムの登場に期待が高まる。
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