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経済産業省幹部年頭所感 通商政策局長 松尾 剛彦
国際経済秩序の維持と経済安保の確保
令和6年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
昨年は、ポスト・コロナ時代の新たな経済社会の在り方を模索する動きが世界中で進んだ一方で、緊張が続く米中関係に加え、ウクライナ侵略の長期化や、中東情勢の緊迫化など、世界が大きな地政学的リスクに直面した年でもありました。
こうした中、日本は、G7の議長国を務めました。特に貿易分野では、①ルールベースの国際貿易秩序の維持・強化に合意するとともに、②信頼できるパートナーとの強靱なサプライチェーンの構築、経済的威圧や非市場的政策・慣行への連携した対処等について、多くの進展を見ることができました。
今年は、その具体化に向け、特に以下の3点に取り組んで参ります。
第一に、紛争解決制度改革をはじめとするWTO改革に取り組むとともに、電子商取引交渉に関し、商業的に有意義な成果が得られるよう、時宜を得た妥結の実現を目指します。インド太平洋経済枠組み(IPEF)については、サプライチェーン協定等の早期発効と、残された貿易分野の交渉に注力します。
第二に、強靱なサプライチェーンの構築に向けて、米欧等の同志国との連携を一層強化し、特に、透明かつ強靱で持続可能なサプライチェーンの形成に向けて需要側に働きかける政策に関し、協力を模索していきます。
また、昨年、日本とASEANは友好協力50周年を迎えました。特別首脳会合での合意に基づき、未来を担う産業の「共創」にともに取り組みます。このため、産業協力の象徴となるようなプロジェクト作りに取り組むほか、次代を担うヤングリーダー達のネットワーク作り等を進めていきます。そしてまた、これらの取組を、他のグローバル・サウスと呼ばれる国々にも拡大していきます。
第三に、G7、更にはそれを超えたパートナー国と連携しながら、経済的威圧の抑止、緩和、対抗に、各国協調の下取り組める体制の構築に努めていきます。
冒頭に述べたとおり、地政学的な緊張はますます厳しさを増しています。しかし、こうしたときこそ、我々は、緊張を適切に管理し、世界の平和と繁栄の実現に努力しなければなりません。
特に、中国と日本は、お互いに引っ越すことのできない隣国です。多くの課題も存在しますが、対話を通じて粘り強くこれらの課題の解決を図るとともに、協力できるところは協力し、ともに地域の平和と繁栄を目指していくことが重要です。
また、日本政府は、本年2月に、ウクライナの経済復興に関する会議を開催します。日本ならではの貢献ができるよう、産業界の皆さんと一層協力を密にしていきます。
昨年、多くのスタートアップを含む企業の方々に西村大臣の海外訪問に同行いただきました。本年も、日本企業がグローバルプレイヤーとして活躍するお手伝いができるよう、取り組んで参ります。
最後になりましたが、本年の皆様のご健康とご多幸を祈念いたしまして新年のご挨拶とさせていただきます。
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