社告  令和6年1月1日にM7・6の能登半島大地震に見舞われた被災者の皆様に 心よりお見舞い申し上げます。    経済産業新報社

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2024/01/10

経済産業省幹部年頭所感 貿易経済協力局 局長 福永 哲郎

対内直接投資倍増と新たな貿易管理

 

 令和6年の新春を迎えるにあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
 

 日本経済は、過去最大規模の名目100兆円の設備投資、30年振りの高水準となる3.58%の賃上げなど潮目の変化があり、持続的な賃上げや活発な投資がけん引する「成長型経済」の実現に向けたチャンスを迎えております。こうした状況の中で、以下三つの観点から、貿易投資や経済安全保障に関する政策を推進し、経済の好循環の実現に貢献していく所存です。
 

 第一の柱は、わが国の国力向上につながる経済安全保障政策の推進です。
 地政学リスクが高まる中、一昨年、世界に先駆けて、我が国が成立させた「経済安全保障推進法」に基づき、半導体、電池等の重要物資の安定供給確保や量子等の先端重要技術の育成に取り組んでおります。加えて、昨年10月、「産業支援策(Promotion)」、「産業防衛策(Protection)」、「国際枠組みの構築(Partnership)」、という3つのPからなる、「産業・技術基盤の強化に関するアクションプラン」で当省の経済安全保障政策に関する基本的考え方を内外にお示ししました。今年、関係部局とともに、国内産業界との戦略的な官民対話を進めていきます。産業界の理解を得ながら、官民連携、有志国連携で具体的な取組を進めてまいります。
 第二の柱は、海外の活力の日本への取込です。
 世界で高まる地政学リスクは、一方で、日本の投資先としての魅力を高めています。対内直接投資残高2030年100兆円に向けて、政府をあげて推進体制を整備し、取組を強化しております。外国企業から日本のビジネス環境上の最大の課題として指摘されている人材の確保について、昨年10月より「高度外国人材研究会」を開催し、高度外国人材の活躍に向けた包括的な議論を行っており、今春を目途に取りまとめたいと思います。
 第三の柱は、世界の平和と安全の維持、公正な競争環境の確保に向けた適切な貿易管理です。
 半導体・量子・ドローンなど新興技術の軍事転用懸念の高まり、ロシアへの制裁を迂回して輸出された汎用品の軍事転用など、安全保障貿易管理の新たな課題が浮き彫りとなっております。昨年秋に再開した産業構造審議会安全保障貿易管理小委員会において、今後の安全保障貿易管理のあり方について検討を進めてまいります。また、ロシア向けの軍事転用可能な汎用品などの輸出禁止措置、北朝鮮向けの輸出入全面禁止措置等について、引き続き国際社会と協調しつつ厳格に実施してまいります。また、昨年、ガリウム・ゲルマニウム、黒鉛に関する輸出管理措置を導入した中国に対しては、「日中輸出管理対話」を通じ、透明かつ公平な運用を行うよう働きかけてまいります。
 

 本年も官民の密接な連携の下、効果的・効率的な施策の実施に向けてより一層尽力してまいります。引き続き皆様のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、皆様の益々のご発展を祈念して、年頭のご挨拶とさせていただきます。

 

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