社告  令和6年1月の能登半島大地震ならびに9月の能登豪雨に見舞われた被災者の皆様に 心よりお見舞い申し上げます。    経済産業新報社

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2024/01/10

経済産業省幹部年頭所感 製造産業局長 伊吹 英明

GX、DX,経済安保の3つを政策軸に

 

 令和6年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 

 本年は、更なる投資の活発化と持続的な賃上げを実現するため、製造産業局では、GX、DX、経済安全保障の3つを政策軸として、投資の促進を進めてまいります。

 わが国は、エネルギー安定供給、産業競争力強化と排出削減を同時に実現することを掲げてGX実現に取り組んでいます。特に、排出削減に効果が大きいものの企業だけで実現するには負担が大きい取組については、官も前に出て支援していきます。グリーンイノベーション基金では、水素還元製鉄技術など、脱炭素化に向けた研究開発・実証を支援しています。

 また、「分野別投資戦略」では、”Hard-to-abate”産業、すなわち製造過程での排出削減が困難な鉄鋼、化学、紙パルプ、セメントといったセクターや、自動車、航空機等を含めた16分野について、GX実現に向けた方向性と投資促進策をとりまとめました。税制では、生産段階でのコストが大きい戦略分野の投資について、生産・販売量に応じたインセンティブを受けられる減税措置を新設しました。
 

 自動車業界でもカーボンニュートラルの実現が大きな課題となっています。我が国は、EVに加えて水素、合成燃料など「多様な選択肢」によってカーボンニュートラルを実現する方針ですが、その中でも日系メーカーが「EVでも勝てる」競争力を獲得することが重要です。EVにとってコアな技術の開発・投資への支援や、国内のEV市場の立ち上げに向けた電動車の購入補助や充電インフラの整備など、総合的に取り組んでまいります。

 また、経済安全保障の分野では、国際情勢が厳しさを増す中で、サプライチェーン上のリスクが顕在化しています。政府としては、自立性の高い経済構造を実現すると同時に、日本の技術が他国に不可欠となる優位性を確保するため、産業界との対話・協力の下、あらゆる施策を総動員して取組を進めてまいります。

 官民による先端的な重要技術の研究開発を推進するほか、永久磁石や工作機械・産業用ロボット、航空機の部品、半導体素材などわが国の生産基盤を支える重要物資の安定供給確保を支援します。

 GXや経済安全保障の課題に対応するに当たり、また、企業の競争力の基盤という意味でも、デジタル化への対応は不可避です。DXによる産業構造の変化に対応すべく、デジタル時代の社会インフラたる「デジタルライフライン」の整備を進め、自動運転技術の社会実装などを支援していきます。

 また、デジタル技術やデータを用いて新たな産業構造における競争力を獲得するため、航空機産業におけるモデルベースシステムズエンジニアリング等の技術を活用した新たな開発手法や、3Dプリンターによる「ものづくり」の変革、自動車産業におけるサプライチェーンデータの連携にも取り組んでいきます。
 

 GX、DX、経済安全保障の3分野を政策軸として、本年も産業界の皆様と緊密に連携しつつ、我が国製造業の成長のために全力を尽くしてまいります。

 最後に、皆様の益々の御発展と、本年が素晴らしい年となることを祈念して、年頭の御挨拶とさせていただきます。

 

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