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経済産業省幹部年頭所感 中小企業庁長官 須藤 治
価格転嫁、生産性向上、省力化投資の3つが肝心
令和6年という新しい年を迎え、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
昨年は、新型コロナウイルスが5類に移行し、各種経済指標で明るい兆しが見られたものの、円安による物価高や、エネルギー価格の高騰、構造的な人手不足等、多くの中小企業・小規模事業者の皆様は引き続き厳しい側面もあった1年でした。
こうした中でも、全国の中小事業者の皆様が、工夫して事業を営み、雇用を守り、地域社会を支えていただいていることに、改めて敬意を表し、感謝を申し上げます。
物価高・エネルギー価格の高騰に対しては、電気・ガス料金や燃料油価格の激変緩和措置や、コスト増に対応するための価格転嫁対策、資金繰り支援を行い、経営を支えて参ります。不安を抱えている方々の多いインボイス制度につきましても、引き続き相談体制の整備を含めきめ細やかな支援進めて参ります。
その上で、足下の様々な経営課題を乗り越えて事業を成長させるためには、時代の変化に果敢に挑戦していくことが重要となります。日本の雇用の7割、付加価値の5割以上を占める中小企業・小規模事業者の皆様を起点として、投資、イノベーション、所得向上の3つの好循環を起こし、我が国の経済を成長軌道に乗せていきます。
特に、持続的な成長・賃上げを実現するためには、「価格転嫁対策」「生産性向上」「省力化投資」の3つが肝要です。
価格転嫁対策に対しては、年2回の「価格交渉促進月間」とフォローアップ調査、300人体制の下請けGメンによるヒアリングを踏まえた指導・助言の実施などの取り組みを通じて支援して参ります。
さらに、中小企業の長年の課題である、生産性向上に対しては、設備導入・DX対応などの前向きな投資をIT導入補助金やものづくり補助金などを通じて支援して参ります。また、目の前の需要拡大を取りこぼすことがないよう、小規模事業者持続化補助金・新規輸出一万者支援プログラムで、事業者の販路拡大を一層支援していきます。
構造的な人手不足を乗り越え、持続的に成長するためには、省力化投資も重要です。カタログから選ぶように省力化対応製品を選べる、簡易で即効性がある支援を5,000億円規模で措置し、大胆に進めていきます。
これらの3つの施策に加えて、「賃上げ促進税制」を拡充します。税額控除率はこれまで最大40%のところ、最大45%となります。加えて、赤字など厳しい状況にあっても、賃上げに取り組んでいただいた皆様が控除しきれなかった金額を翌年度以降に繰り越せる仕組みを作り、その期間を前例のない長期となる5年間とします。これにより、裾野の広い賃上げを実現していきます。
令和6年も、中小企業・小規模事業者の皆様のチャレンジを後押しし、皆様の希望の実現に全力を尽くしていく決意です。本年が、皆様にとって実りある年となるよう心より祈念し、新年のご挨拶とさせていただきます。
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