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中国のBEV販売が頭打ちに 見直されるPHEV、インドはメタンにシフト ~KPMG動向調査報告
KPMGコンサルティングでは、このほど「カーボンニュートラルに向けた自動車燃料の動向とエンジン車の今後の展望」という記者勉強会を開いた。
講師は、同社の自動車セクター アソシエイツパートナーの轟木光氏。日系自動車会社やコンサルティングファームを経て現職。その中で、注目すべき話が出て来たので紹介する。
1つは、中国のBEV(バッテリー電気自動車)の販売に頭打ち感が出ており、一方、PHEV(プラグインハイブリッド車)の販売シェアが増加している。欧州、米国でも同様の状況になってきている。
2つめは、インドのCNG(圧縮天然ガス)車の代替として牛糞を活用したバイオメタンを使用し。3200万台のCNG車の全保有台数の8割をカバーする戦略だ。
3つめは、欧州ではロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー安全保障の観点から、PHEVが見直されてきている。BEVのバッテリー性能の向上により「航続可能距離」が競争軸に加わり、PHEVがユーザーの満足度を高めるソリューションとなってきている、としている。
BEVは、カーボンニュートラルを達成するため、各国とも補助政策で普及を促してきたが、補助政策が徐々に削減されると、BEVの普及にブレーキがかかり出した。
インドは、400万台の自動車保有国だが、2047年までに「エネルギー自立」国家に転嫁するという新たなビジョンを発表している。
温暖化係数がCO2の25倍ある牛糞からメタンを回収し、内燃機関に活用循環することでGHG(温室効果ガス)が削減できる可能性が高い。インドには牛が3億740万頭おり、インドの乗用車保有台数の80%をバイオメタンで賄う計算だ。
轟木氏によると「インドの新車市場は410万台。日本は450万台。23年には、メタン使った新CNG車が最初の9カ月で約32万台、前年比40%、新車の10%がCNG車に代わってきている」。
また、カーボンニュートラル時代の車の競争軸がパワーユニットや燃費から「航続距離」が新しい競争軸となってきている。「これはBEV化により、バッテリーの性能が良くなり、PHEVの軽量化につながったためだ」。
また、BEVが自動運転レベル4になると、車載コンピューティングの負荷がかかり、航続距離が37%減る試算も出ている。
これらのことにより、先進国では再び、PHEVが顧客から満足度を高めるソリューションとなる可能性が高いとの見解を示した。
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