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2024/05/31

リアル空間をデジタル化する ~エイターリンク社「AirPlugtm」

 米・スタンフォード大学発のスタートアップ、エイターリンク(株)(代表取締役CEO・岩佐凌氏、同CTO田邉勇CES20232023で披露した、世界初、空間伝送型ワイヤレス給電ソリューション「AirPlugtm」が4月から販売が開始された。

 「電波を用いて人の居住環境にワイヤレス給電空間を作る」がテーマの同社は、」ビルのマネジメント領域に目を付けた。「ビル内IoTが進まないのは、IoTセンサーが定期的な電池交換や電源の管理の煩雑さなどに問題があった」(岩佐氏)。
 ワイヤレス給電によるIoTセンシング(室温、CO2、モーションセンサー)にすれば、電池交換が不要でメンテナンスコストが大幅に抑制でき、常時ネットワークに接続することで、センサー情報を基にオフィスビルシステムの統合制御が可能になる。

 

同社は,三菱地所、竹中工務店、三菱電機と4社共同で1年間、実証実験をしたところ、空調負荷量(空調に関する電気使用量)が約26%削減できたそうだ。「ビル内のクレームの8割が空調にあり、従来の天井内蔵センサーでは人との温度差が4度もあった」。
 AirPlugは、920MGHz帯の電波を送信する送電機の消費電力6W/1hは、1Wの電波を送信できる。一般の照明の消費電力は20~30Wと比べ極めて低電力。AirPlugSenseで得られたセンサーデータがAirPlugに戻され、AirPlugSamitと呼ばれるデータオーガナイザーに集約され、ビル管理システムの制御に活用される。
 実際、同社錦糸町にあるコラボツリー6階(約500平方㍍)のフロアに送電機21台、受信機は各空調ゾーンに2~4個の受信センサーをつけて実証実験を行った。

 

エイターリンク
天井高3メートル、50平方メートルの空間には送電機6台が必要

 

 このソリューションは、最大17㍍以上の給電距離に加え、移動体に対しても給電可能な低い角度依存性をもっており、ビルマネジメントの世界で大きな役割を担うと期待されている。

 2025年には約100棟以上のビルへの導入が予定されており、グローバル及びJV&ディストリビュータパートナーが100社以上。日本発画期的なスタートアップが世界市場で注目を集めるのは間違いない。

 

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