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2024/07/04

書評 野生の経営  極限のリーダーシップが未来を変える

 名著、「失敗の本質」の野中郁次郎氏が近年、提唱しているのが「野生の経営」。混迷深まる、不確実性の時代には「野生」を発揮して生き抜く必要がある。生き抜く知恵は、人間の直観や潜在能力から生まれ、生き抜くことによって「野生」が磨かれる。
 「経営」も例外ではない。最新のITツールで分析をして管理しても、経営の未来を見通すことはできない。「経営」は人間の営みそのものであり、混沌や危機が日常化する今日、日々生き抜く「野生」に目覚めさせるきっかけが本書の狙いだ。
 この本では、アヘンで有名なタイのゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)地域を理想郷に変えた同国メーファールアン財団の社会変革(ソーシャル・イノベーション)の物語を紹介している。
 1部は、世界を取り巻く今日的課題について、野中氏の知的創造理論を基盤とする「野生の経営」の理論編、2部はタイの「ドイトゥン開発プロジェクト」を成功に導いたリーダー、クンチャイの物語り編となっている。
 クンチャイが様々な困難を乗り越え、地域の人に寄り添い、並走しともに考え、人々に生きる知恵を与えた30年に及ぶ奮闘記が物語となり、心で感じて追体験してほしい願いが込められている。
 未来の創造に向けた生き抜く力の原点は、形式論理の分析でなく、目の前の現実、ヒト、モノ、環境全てに深く共感することが物事の本質を見抜く土台となる、という。

 

野生の経営 極限のリーダーシップが未来を変える
著  野中郁次郎、川田英樹、川田弓子
定価 1800円(税別)

 

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