政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


「プロジェクトとプログラムの本質」
髙梨 智弘

日常の業務の中で特にチームを組んで実行する特別業務をプロジェクトと呼ぶが、課題が多いと企業によっては複数のプロジェクトを編成することがある。事業の多様な戦略を実現するための方策だが、経営者にとっては、個々のプロジェクトの成功だけでなく、それらの整合性を保つことと日々の定常業務も一体として経営管理することが必要となる。
この場合の管理手法をプロジェクトではなくプログラムマネジメントという。プログラムが全体でプロジェクトが部分の関係にある。
本稿では、プロジェクトマネジメント(部分)とプログラムマネジメント(全体)の経営管理上の違いを説明するのではなく、その対象であるプロジェクト(部分)とプログラム(全体)に共通の要素と相異の要素を説き明かす。また、それぞれの意義と本質について論じたい。
両者とも何らかの業務に関わる人の活動を意味することは論を待たないが、選択された目標を達成するための一定の時間軸で成功に導くための手続きであることも同様であろう。この共通の要素が手続きと言う時間軸で動く「プロセス」(流れ)の概念で説明できる。
しかし、一定の目標を達成するためにチームで実行する計画からその結果をだすまでの一連の活動を意味するプロジェクトのプロセスは、主として、品質・コスト・時間(QCT)を厳密にコントロールする手続きの流れであり、どちらかというと計画通り、つまり一定のやり方をその通り実施することに主眼がある。
一方、より広いプログラムのプロセスが対象範囲とする日々の定常業務は、QCTを少し柔軟に管理する手続きの流れであり、厳密に限定せず期間内に目標を達成することが主目的ではなく、競争力を上げるための改善が重要となる。
さらには、プログラムの対象でもある戦略の実行のための環境変化に対応するイノベーションのプロセスは、QCTをまったく柔軟に行わせるリスクに挑戦する手続きの流れである。
つまり、両者は、社会や顧客に何らかの価値を創造し、結果として企業の業績をあげるため、知識・知恵・知心の移転・増殖を行う一連の企業活動の流れであるプロセスこそがその本質である。つまり、企業の成否は、プロセスマネジメントの良し悪しで決まる。
(公認会計士、自治医科大学客員教授、慶應義塾大学SFC研究所上席所員、日本総合研究所フェロー、日本イノベーション融合学会理事長)

 

 

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