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昭和30年代に学ぶコミュニケーション

昭和30年代に学ぶコミュニケーション

 

第50回
『昭和30年代に学ぶコミュニケーション』
-不易流行の考え方
宮田 穣 著/彩流社/1,800円(税別)

時代とともに変わるものと変わらないものを
見つめ直す「新旧ハイブリッド」を提案

技術の進化とともにコミュニケーションの手段は、直接の対話だけでなく、電話からメールやSNSなどに広がってきた。だが、情報の交換や感情を通わせたりするコミュニケーションの目的は昔から変わっていない。本書では、昭和30年代を振り返ることで「本来のコミュニケーションとは何か」、現代人が生活のバランスをとるために何が必要かを探っている。

著者が参考にするのは、昭和30年代の様子を描いた映画『ALWAYS 三丁目の夕日』。当時のコミュニケーションは家族との食事の時間や、近隣住民たちとの直接の対話が主だった。しかし、現代はインターネットの普及により連絡手段が簡素化した一方、対面でのコミュニケーションの機会は減っている。

本書で著者は、昭和30年代と現代に優劣はなく、当時のコミュニケーションを現代にとり入れることで生活のバランスをとることが大切だと言う。たとえば、SNSなどで特定の人とかかわるだけでは、思考の固定化や偏りが生じてしまう。そうならないために、家族や近隣住民と直接話をする時間を定期的に設けるなどの「決めごと」をつくり、習慣化する工夫が必要だ。

そうした習慣化の一つとして著者が提案するのが「旧暦」の活用だ。旧暦では1年を「春分」「夏至」など自然の流れや変化を「言葉」で捉えるが、現代の新暦は「数字」で表現している。旧暦を意識することで、自然の変化を味わうとともに、世代を越えたコミュニケーションのきっかけを生み出すことができる。「新暦と旧暦のハイブリッド(異種混合)」を意識することで、偏りのない豊かなコミュニケーションを実現できるということだ。(情報工場 編集部)