政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


IT調査専門会社のIDC Japanから、国内企業のIT投資動向に関するリポートが発表された。国内企業のCIOや情報システム部門長に対してのアンケート調査の結果である。

この調査によると、2016年度の年間IT予算は、全体では前年比「変わらない」とする企業が60%以上を占めている。企業規模的には、大企業では「変らない」の割合は減り「増加」が35%、中堅企業では31%だそうだ。これに対して、中小企業は80%近くが「変わらない」という答えだ。

業種別には、金融業や通信・メディア業において増加傾向30%程度と高く、製造、流通業では、増加も20%程度あるが、変わらないが60%以上だ。投資細目は不明だが、従来型のシステムに対する投資が多いようなら問題だ。金融業の業態変革を迫るFintechの動きにで、先行する米国等について行けていない日本企業は、ビジネス変革へのさらなる積極投資が必要である。

気になるのは2点。一つは、中小企業の投資動向だ。そもそもシステム化投資に遅れ、先端的なシステム事例が少ない中小企業において80%近くが変化なし、ということは、先行する中堅、大手とますますシステム力の差が広がることを意味する。

全国385万社にも及ぶ中小企業が、システム力だけではないにせよ、力をつけなくては、日本の産業構造は変わらない、もしくは衰退していく。何らかの根本的な対応策が必要であろう。

もう一点は、製造業の動向。もちろん投資が増加傾向とするのは20%以上あるが、同時に変わらないは64%もある。IoT時代を迎え、製造業のあり方が根本的に問われている。

先端企業の代表格であるGEでは、最近、会長兼CEOのJeff Immelt(ジェフリー・イメルト)氏が、「今後、採用する20代の社員に関しては、採用する職種に関わりなく、プログラミング能力を必須の能力として科すことで、機構改革を進める」方針を明らかにした。

「自分の仕事をマシンリーダブルな『コード』で書けない者はGEで仕事するな」ということだ。この大きな変革を理解できていない経営者が、日本には多いのではなかろうか。かつては製品が消費者に届くまでには、多段階の流通構造が必要であった。それがITと物流の力を中心に、ECサービス業者を介して、直接商品が消費者に届く時代となった。

今後は、商品自体がサービス化したり、ドローンをはじめとする直接配達によって、製造者から消費者に直接商品が届いたり、さらにはものによっては、3Dプリンターで直接自宅において商品が製作される、などという革命が起きるだろう。

このような時代の大きな変革の推進力はITだ。それに対して、変わらないが64%というのは、いかんとも寂しい数字ではなかろうか。

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