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アジア最大の紙パルプメーカー、APP

13年より『自然伐採ゼロ』宣言 環境とビジネスの両立へ

森林保護方針と地域の再生支援に懸命に取り組む

アジア最大の紙パルプメーカーであるAPPグループは、8月4日、スマトラ島リアウ州において「ギアム・シアク・ケチル森林保護・再生プロジェクト」の記念植樹式典を行った。インドネシアからはリアウ州シアク県政府関係者や研究機関、日本からは森林再生で著名な横浜国立大学の宮脇昭名誉教授の名代として、一般社団法人日本環境ビジネス推進協議会の神谷光徳理事長、国連条約機関である国際熱帯木材機関(ITTO)の馬桓玉(マ・ファンオク)博士らが参加し、植樹を行った。

APPは、2013年2月「森林保護方針(FCP)」を発表。以来、自然林の伐採を全面停止し、自社が持続に管理している植林木による紙・パルプ生産を行いながら、森林保護に取り組んでいる。

式典後、同州にあるAPPのインダキアット・ペラワン工場を見学した。2010ヘクタール(ha)の広大な敷地に港湾設備まで備えた紙パルプの一貫工場は、最新のオートメーション設備を導入している。ペラワン工場の6号機は、24時間稼働のフルオートメーション。毎分1300メートルの速度で1日平均1200トンの紙を生産している。6号機の年間生産能力は42万トン。米国及びヨーロッパの企業の協力により構築された。

昨今求められている「責任ある調達」に寄与するため、東京都の約6倍の140万ha(インドネシア110万ha、中国30万ha)の自社植林地において、国際的な森林認証であるPEFC認証の取得も進めており、現在半分以上がすでに取得済みとなっている。また、現在APPでは、「総合森林農業システム」プログラムに懸命に取り組んでおり、今後5年間で1000万USドルを投資する予定だ。「景観レベルでの森林保護・再生支援の一貫として、森林火災の原因の一つともなる地域住民の焼畑農業の削減を目指し、効率的な農業技術の指導や森林保護のための教育を行っている。地域住民に代替生計手段を提供することにより、森林破壊とも密接につながる貧困問題に対応し、教育により地域ぐるみの森林保護の底上げを図っている。また、インドネシアの森林保護・再生支援プログラムの基盤として『ベランターラ基金』も設けた。時間のかかる仕事であるが、環境とビジネスの両立を掲げる企業としての責務を考え、国のバックアップを受けながら一体で取り組んでいる」(同社広報部長・ランディ・サリム氏)。

こうした森林保護・再生支援のプログラムを行うことは、中国とインドネシアに十数か所の工場を持ち、年産2000万トンとアジア最大の生産能力を誇り、世界120カ国でそれら紙パルプ製品を販売しているAPPがグローバル企業として認められていくための一つの通過点なのであろう。今後の取り組みに注目したい。