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生理学・医学賞での日本人による29年ぶりの単独ノーベル賞受賞者となった大隅良典東京工業大学名誉教授。これで3年連続、ノーベル賞の受賞が続いている。日本の基礎研究レベルの高さを示している。

対象となった研究は「オートファジーの仕組みの解明」。細胞が不要になったたんぱく質や機能が落ちた分子を分解して原料に戻し、新たなたんぱく質を作る生物が備える必須の機能で、「自食作用」と呼ばれている。

オートファジーが効かなくなると、パーキンソン病などの神経疾患に関係してくることがわかってきた。今後、病気との関連から治療への応用が大きく広がる見込みだ。

大隅氏がオートファジーの研究に取り組んだのは1992年ごろ。すでに25年の歳月が流れている。同氏は「科学が役に立つことを求めたら(特に基礎研究は)成り立たないし、社会をダメにしている」と会見で発言している。

基礎研究には時間がかかるし、予測も不能だ。しかし、大学の研究を支える科研費はずっと横ばい状態。日本の研究者自体も論文数の減少、グローバルネットワークからの孤立など、今後の日本の基礎研究の停滞が予測できる。ノーベル賞を受賞したから安心という状況には全くないことを肝に銘じておくべきだ。