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水力発電が日本を救う

水力発電が日本を救う

第54回
『水力発電が日本を救う』
-今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる
竹村 公太郎 著/東洋経済新報社/1,400円(税別)

日本のエネルギー政策の救世主
水力発電がもつ可能性とは

東日本大震災以降、太陽光や風力をはじめとする再生可能エネルギーの比率を増やすことが検討されている。その中でも、全発電量のうち太陽光発電がもっとも有望格と考える人が多い。一方、古くからある水力発電については、巨大ダムを増設するのが困難なために今以上に発電量を増やせないと思われているようだ。しかし本書では、既存のダムの使い方を工夫することでもたらされる水力発電の可能性を紹介している。

現在、日本の総電力供給量に対する水力発電の割合は9%ほど。だが著者は、日本のダムの潜在的な発電能力を引き出せば、これを30%まで引き上げることが可能と試算している。
方策の一つは既存のダムの嵩上げだ。たとえば高さが100メートルのダムがあり、このダムをあと10メートル高くすれば水位も10メートル上がる。高さとしてはたった10%の違いなのだが、そのことで単純計算でも発電量は約70%も増えるという。
また、全国には、発電に利用されていない非常に多くのダムが存在している。たとえば山間の渓流などには小さな砂防ダムが多数あり、著者はこれらを水力発電に転用できるとしている。
日本はエネルギーの大量消費国でありながら、原子力を除くエネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っている。だが化石燃料はいずれ必ず枯渇する。日本は、自国の自然条件に合致する水力発電、地熱発電、海流発電など、「すでにあるものを利用する」ことに、もう少し目を向けてもいいのではないだろうか。
(情報工場 編集部)