政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


急速にEVに傾斜するEU

40年ほど前、石油は35年とか40年後には枯渇するというもっともらしい説が流布されていた。現実にはそのようなことはなく現在枯渇する気配は全くない。

一方で1956年に地質学者マリオン・キング・ハバード氏が発表した興味深い論文がある。石油の生産ピークはハバード曲線という正規分布に似た曲線に基づいていて、埋蔵量を半分消費した時に訪れ、米国ではそのピークが1970年前後に訪れると予測したのだ。現実に米国での石油生産ピークは1971年に訪れ、その後石油輸入国になっている。そのハバード曲線によると、世界の石油生産ピークは当初2004年と予測されていた。2006年説や2010年説も現れたが、2016年現在まだピークにはなっていないようだ。

消費のピーク予想もあり、2020年から2040年にはピークになるだろうと言われていたりする。最近の社会変化を見ていると、どうやら石油依存の社会が変わりそうになってきた。オランダは2025年までにガソリン車とディーゼル車の販売を禁止する法制化に取り組んでおり、ドイツでは連邦議会が2030年までにガソリン車とディーゼル車を禁止する決議案を採択した。この流れはやがてEUに広がり、世界に影響を与えることになるだろう。

15年くらい経つと車はほとんどEV(電気自動車)やCFV(燃料電池車)に変わることが現実味を帯びている。その動きは様々なところに現れていて、GoogleやAppleがEV開発に本格的に投資をする動きがあり、EVに特化したステラモーターズのような従来の自動車産業ではない会社の進出が顕著になって車が家電製品化していくのだ。

石油業界も消費の構造が大きく変わっていくことから、ビジネストランスフォーメーションが必須となるだろう。統合再編でもたもたしている余裕はないはずだ。

自動運転で変わっていく社会

もう一つの大きな動きは自動運転の技術開発である。自動運転の定義にはそのレベルに応じて「0」から「4」に分類されていて、完全自動運転のレベルは4である。現時点ではレベル2までの同一車線内の自動追尾や自動ブレーキなどが搭載された車が販売されているが、遠からずコンピュータ化された車両に様々なセンサーを組み込んで車は自動で走行するロボットになっていく。この大きな変化は留まることはなく、課題を解決しつつ達成されるだろう。

レベル4の自動運転車が市街を走る頃には車両はEVかCFVになっているはずだ。この二つの劇的変化は既存の自動車産業に影響を与えるだけではない。社会構造全体に多大な影響を及ぼすと考えられる。

内燃機関と異なり部品も生産工程も少ないEVや CFVには素材、パーツ、組み立てに多くの労働者を要しない。石油業界も様変わりするだろうし、タクシー業界や運輸業界もロボット化することによって人への労働依存が激減して雇用環境が激変する。その時代を受け入れる準備はもう始めなければならない。

以上