政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


「Cyber Sparkが提供する車のクラッキング&認証サービス」

Cyber Spark CEO ロニ・ザハヴィ氏

Cyber Spark CEO ロニ・ザハヴィ氏

Cyber Spark CEO ロニ・ザハヴィ氏

私はイスラエルのベエルシェバでサイバースパークのCEOを務めている。ここでは「サイバーエコシステム」が確立されている。今日はそのストーリーを語りたい。

医学や航空業界などあらゆる産業には歴史があり、例えば医師になるには大学を経て長い時間の教育がいる。しかし、サイバーセキュリティ(CS)の課題は何か?5~6年取り組んできたが、1日に5万ケースの攻撃を受けており、世界の人にCSのプロフェッショナルな課題は何かと尋ねても誰もわからない。

このグローバルなCS戦争の真っ只中で取り組むのには知識が常に遅れてくる。CSには地理的な国境がなく、敵の対象が国なのか誰なのかよくわからない。チャレンジしてくる相手に対し重要な方法は1つはコラボレーション(協業)である。一緒に対抗する。そして、2つめはエコシステムが必要だ。

最近のCS事情とイノベーションについて、従来、セキュリティはCIOやCISOが対処してきたが、CSにより大きく変化してきた。サイバーの分野とビジネス現場の協業・コラボが重要になってきた。

サイバースパークでは、世界の銀行、電力、航空宇宙などあらゆる企業分野のイノベーション担当の責任者を集め、5年後のそれぞれの業界の見通しを語りあった。規模としては1・2兆ドルを超える企業群である。例えば銀行は5年後に支店がなくなり、全てモバイル対応になるとか、製薬業界もパーソナルメディシンにより大きく変わる。

その際、CS対策を確保していなければ、ビジネスのセキュリティ、ブランドやIPが確保できなくなるということだ。例えば、ソニーはサイバー攻撃を受け数万人のEメールが盗まれたが、後にHR(ヒューマンリソース)が問われることになった。

CSの世界は全く異なる社会の問題となってきている。この有機体である人体と同じで、風邪を引いたら細菌が流行するように、CS攻撃を受けたらそれを隠すのは良くない。それを情報共有してチャレンジに対抗していく必要がある。以前は競争関係にあったカナダの6つの銀行はCSに対抗して1つのコンソーシアムを形成している。

イスラエル・ストーリーをお話しする。防衛省はいまから25年前に、CSが戦略的脅威となるとして、サイバーディフェンス国防軍(IDF)を組織した。専門家を育成し、民間企業にもそのポテンシャルを移転、第2世代となりチェックポイントなどの企業が出現、60億ドル規模の産業群に育った。

わが国のCSに対する投資額は2016年には7億ドルに達する。これは世界のCSに対する投資額の22%に当たる。700万人の人口しかいない国での驚くべき数字である。

サイバースパークは、テリアビイブから車で1時間のベエルシェバにある。ここの大学はフレンドリーで、CSの最も優れた研究を行っていたところに、CSの最も優れた人材を持つIDFを移転させた。病院や教育機関、政府もあり、全て徒歩で移動できるデジタルシティだ。ここにベンチャーから大企業に至る産業界が参加し、CSのエコシステムができたのである。ここにはCSIRTやサイバービューローも集結してきている。

1ヶ所に集めたからと言って、産官学連携が動くとは限らない。ここではデザイナーやCS開発者が大学で最新技術の情報を基にしたカリキュラムで教える。そのため、大学の指導要綱のアップデートがスピードアップし、卒業生は即戦力となって企業に入る好循環が生まれ、産官学連携を進展させている。

ここに参加した企業の従業員の給料の20%は国が負担してくれる。サイバースパークは一つの企業体となって動いている。CSに対しては、とても正しいやり方で、我々はこのサイバースパークをグローバルに展開したいと考えている。

いまや医療、IoT、航空機、自動車であれ、現在はサイバーセキュリティを考慮して製品を作ることが必須である。

エアバス330は新発売前にハッカーに情報を晒し、あらゆるアタックを受け入れて、安全を確認してから発売に踏み切った。自動車も電装化が進み、そのコントロールへのCSアタックが可能となってきている。

イスラエルでは自動運転の研究を25年前から取り組んでいる。先駆者として、コミュニケーション、通信、センシングなどのレイヤーごとにあらゆる知見を持っている。

サイバースパークの自動運転プロジェクトでは、政府の支援を受け、サイバーアタックから車を守るため、あらゆる分野の研究者を投入している。つまり、車をサイバーの観点から見つめ直す試みである。日本の企業にもサイバースパークに参画して欲しいと思っている。

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