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第3の矢、成長戦略まとまる。4つの戦略分野取りに、政策資源集中。

政府は14日、産業競争力会議(議長・安倍晋三首相)で取りまとめた、アベノミクスの第3の矢である成長戦略を閣議にかけ、経済財政諮問会議がまとめた経済財政運営の基本方針である「骨太の方針」とともに決定した。


「日本再興戦略 ジャパン・イズ・バック」と名付けられた成長戦略は、総論、国際戦略、日本産業再興プラン(ヒト、モノ、カネを活性化する)、戦略市場創造プランの大きく4つにまとめられた。
 国際戦略では、戦略的な通商関係の構築と経済連携の推進を図るため、貿易の自由貿易協定(FTA)比率を現在の19%から2018年までに70%に高める。TPP(環太平洋経済連携協定)に積極的に取り組み、RCFP(東アジア地域包括的経済連携)や日中韓FTAと併せ、FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)のルール作りのたたき台をめざす。
 また海外市場を積極的に取り組み、2020年までに約30兆円(現在10兆円)のインフラシステムの受注を目標とする。また、対外直接投資残高を35兆円へ倍増させる。
 産業再興プランでは、産業の新陳代謝を促進するため、17年度までを「緊急構造改革期間」とし、今後3年間で設備投資を12年度の約63兆円から10%増やし、リーマンショック前に戻す。雇用制度改革では、20~64歳の就業率を75%から20年度までに80%にする。
 科学技術イノベーションの推進では、「技術で勝ち続ける国」を創り、イノベーションランキングで5年以内に世界1位をめざす。ビッグデータの活用など世界最高水準のIT(情報技術)社会実現に取り組む。
 さらに、立地競争力のさらなる強化では、20年度までに世界銀行のビジネス環境ランキングで3位以内(現在15位)に入る。中小企業・小規模企業の革新では20年度までに黒字企業を140万社にするといった内容だ。
 戦略市場創造プランでは、グローバル市場で成長が見込める4つの戦略分野を選定。政策資源を集中投入し、「ロードマップ」を策定する。
 テーマ1は国民の健康寿命の延伸。医療の研究開発の司令塔機能(日本版NIH)を創設、20年までに医療拠点を全国10カ所程度創り、30年までに5兆円の市場規模獲得をめざす。また、ロボット介護機器の開発を今年度から5ヵ年計画でスタートさせる。
 テーマ2はクリーン・経済的なエネルギー需給の実現。18年をめどにメタンハイドレートの商業化技術を実現する。電力システム改革を実行に移し、15年をめどに広域的運営推進期間を創設、18~20年をめどに送配電部門の法的分離、小売料金規制撤廃をめざす。
 30年までに日本の全世帯の約1割、530万台の家庭用燃料電池の導入
や次世代自動車の新車販売の割合を5~7割とする目標だ。
 テーマ3は安全で便利で経済的な次世代インフラの構築。安全で強靭なインフラが低コストで実現される社会をめざす。
 テーマ4は地域資源で稼ぐ地域社会の実現で世界をひきつける。農林水産業を成長産業とし、10年間で所得を倍増させる戦略を策定する。また、農業の6次産業化を進め、20年に市場規模を現在の10倍の10兆円とする。また、日本ブランドを確立し、訪日外国人旅行者数を30年には3倍の3千万人超えをめざす、30年までにアジア1の国際会議開催国をめざす、などとなっている。

<解説> 政府の成長戦略がまとまった。金融、財政に次ぐアベノミクスの「第3の矢」として期待され、政策的には万遍なく、戦略が取り上げられている。しかし、総花的でこれをどうやって実現していくのか、まさに「実行力」が問われる中身である。
 具体的には、設備投資を今後3年間で10%、リーマンショック前までに戻す目標だ。しかし、都議選や參院選挙前とあって、具体的な投資減税や特区、規制緩和などあらゆる政策プロセスは打ち出せなかった。
 ある元政府の高官によれば、「政府の政策はこれまで何度も議論され出し尽くしてきた感がある。すでに日本経済のやるべき課題は皆、わかっているのだ。あとは、それをどう実行していくのか?やる人も決まっている。政権が安定し、政策が少しずつ周り出せば日本はきっと再興できる。この数年の首相は1年くらいしかその座につけなかった。これが政策の実行スピードを阻害してしまった要因だ。
 今自民党は責任政党として大きな役割がある。変なスキャンダルや外国との摩擦は極力避け、慎重に成長戦略を実行して行って欲しい」と述べた。今回の成長戦略に対し、株式市場は全く反応しなかったが、6月の上場企業の決算の業績は大幅増益であるため、また株価は戻るものと見られており、夏から秋にかけて景気が好循環に回り出す予感がする。

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