政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


グループの新拠点となる城北本部池袋ビル

グループの新拠点となる城北本部池袋ビル

教育にイノベーション起こす

28期連続増収増益を続けるリソー教育
個別指導の学習塾を創造

2005年弊紙が経済産業省と共同で取り上げた「上質サービス企業」がいまや、各業界のトップ企業に成長している。景気に左右されない強い企業に見出せるのは、①経営理念の徹底追求、②CS(顧客満足度)を得るための従業員教育、③ITの徹底した活用による効率化などだ。「TOMAS」のブランドで知られるリソー教育にもあてはまる。常識破りの個別指導「塾」を成功に導いた経営術を岩佐実次代表取締役会長に伺った。

――急成長すると管理・マネジメントの緩みや社員教育に怠りが出るものだが、貴社にはそれが見当たらない。大企業病を避けるポイントは何か。

岩佐 社員を小さな成功に満足させないことだ。目先の目的を達成し、それなりの収入を手にすると努力を放棄するのが人間だ。そうさせないためにリーダーが大きな夢を与え続ける。若い時、僕はほら吹きといわれた。でも、意に介さなかった。僕はいまでも言っている。お前たち、俺がホラ吹きかどうか、死んでから言ってくれ、と。お金が少し儲かって満足してしまうのが小さな企業の社長さん。ある程度の会社に育てるなら、リーダー自身もお金儲けとは違う喜びを持たないとダメだ。事業を伸ばす、人を育てる楽しみがそれだ。
当社子会社では学校内個別指導「スクールTOMAS」事業をやっている。集団指導のように十把一絡げに教えるわけではない。一人一人の子の力を引き出すカリキュラムを、生徒と相性のよい教師が考える。成績の悪い子の成績を改善する補習塾ではない。難関校を志望する子も利用し、進学実績も挙げている。スクールTOMASは、3つの公立高校から受注できた。質の高い教師を取り揃えるだけでなく、教師の指導と教室の運営に当たる専任スタッフを多数配置しているのだ。個別指導業界にあって、これだけの専任スタッフを配しているのは極めて稀だ。家庭教師ではできない。この運営システムが、質の高い教育サービスの基盤になっている。当社の社員には、「高校だけで全国に5千校ある。この『教育の運営システム』を広げれば学校教育に革命を起こせる」と言っている。リーダーは常に進軍ラッパを吹き、部下に未来を描いてみせる。親分が野心家であり、限りなく欲望がないと部下がついてこない。

――リーダーを育成するには。

岩佐 口で言うほど簡単ではない。「後継者は育てるものではない、外から探すしかない」と意見には一理ある。いずれにしても、後継者には私が元気なうちにバトンタッチしたい。70歳から育て始めて失敗すると間に合わない。実は、会長職に退いて社長職を何人かの後継者に預けてきた。会社を託した以上、口を出さない。ぐっとこらえる。これを貫いてきた。
ただ、28期連続、塾業界ごぼう抜きでトップになったといっても、私の目から見れば、まだまだ社員たちはここまで成長できた真の理由を十分に飲み込めていないような気がします。倒産寸前に銀行へ駆け寄り土下座し金をかき集めて給料を支払った苦労は経験したオーナー経営者でないとわからない。リーダーは、自分の力で組織を作らないといけない。つまり、人の力の借り方を学ぶことが大事なのだ。
会社経営の目的は売上を伸ばすことではなく利益を上げることだ。この区別ができないとリーダーを務められない。アルバイトに任せられる間接部門に正社員をあてがうのは経営から見ると間違いだ。我々のサービス業の「原料」は教師だ。ダンピング競争に巻き込まれればよい教師が集まらないし、会社も続かない。
ところで僕のリーダー研修は普通じゃない。「鬼」といわれている。幹部研修会は年間6~8回、朝7時~夕方6時くらいまで缶詰で行われる。新人社員の研修もとことんまでやる。でも、部下に嫌われたことはない。心があれば部下はわかってくれる。いまの社長は、私が引き継いでから数えると第三次内閣。僕もまもなく70だ。ここで育て切れないならば責任を取って会社を去るという覚悟で、日々研修をしています。

――これからのリソー教育について伺いたい。日本は少子化が進み受験者数も減る傾向にある。その中で、リソー教育としてはどのような戦略、考え方で進まれるのか。グローバルへの展開は。

岩佐 机上の勉強だけでは養えない人間性や社会性を培って初めて人は一人前になる。当社は、国際社会で通用する人材を育てる教育を追究している。グローバル時代の人材は、知識だけでは不十分。人間そのものを深く理解し、感性を養うには習い事やお稽古事、学校では授業以外のクラブ活動など課外授業が不可欠だ。僕の専門は心理学だが、日本の俗に言う『優等生』の大半は僕から見ると「人間勘」が良くない。人の仕草や表情から感情をつかみとることができないのだ。本ばかり読んでいても人間を理解することはできない。喧嘩をしたり、合宿で集団生活をしたりするなかで、友情や世の中のルールを学ぶ。学校現場における集団指導は教える側の都合で時間割りが決められる。学校以外での習い事やお稽古事、友達と付き合う時間が犠牲になる。子供の個性に合わせた合理的な個別指導であれば時間に融通が利くから習い事や趣味を生かしながら塾に通える。昆虫合宿や宇宙博士合宿など、体験型教育プログラムを通じて子どもたちの人格形成・情操教育をサポートする当社のプラスワン教育事業はそれが狙いにある。

――これからの日本の教育について、また、日本は何を目指すべきか提言をいただきたい。

岩佐 教育は、国の基幹産業だ。明治政府はそれを理解して学制を作った。この20年間、日本の教育現場は何の改革もしてこなかった。失われた時間を取り戻す闘いを始めないと、日本は海外に置いていかれる。
たしかに日本の教育は戦後の一時期よい働きをした。地下資源のない国を経済大国にした。しかし、一発勝負の大学入試制度がある限り、親も、学校もそれにあわせた知識偏重・記憶力重視型の教育を行う。だが、いま生徒にとって本当に必要なのは、物事の問題解決能力や国際社会における常識だ。国際社会は、文化や宗教が異なる人が集まっている。その常識からズレていると相手にされない。日本は世界との交わりなしに生きていけない。たとえば新興諸国に進出するのに、単に大人の安い労働力や購買力だけを求めれば、その国の政府といずれ摩擦を生じることは周知のとおりだ。しかし、教育から入ると逆に感謝される。個人のレベルで日本を、日本人を好きになってもらえる。民間交流も進めば産業の話は自ずとうまく行く。国を担うリーダーはそのことを肝に銘じなければならない。

「スクールTOMASが学校教育に革命を起こす」
と常に社員には未来を語っています

 

(文・構成/柏崎吉一)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">