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世界から期待され、世界をリードsるJIPA
一般社団法人日本知的財産権協会(JIPA)
 竹本一志理事長に聞く

1938年に創設以来、任意団体として活動してきたJIPAが、今年4月から一般社団法人として衣替えを図った。そこで、初代理事長となった竹本氏(現サントリー知財部長)にその狙いと今年の方針を聞いた。

竹本一志理事長

竹本一志理事長

JIPAは世界最大の知財ユーザー団体で、約1200社が集まって活動している。このたびの一般社団法人化の狙いは、近年活動が活発化してきて、国内では内閣府を始め特許庁他の知財関係省庁など、海外では、知財先進国と謂われる欧米諸国だけで無く、アジア、ASEAN諸国の知財関係機関やWIPO(世界知的所有権機関)など、内外を問わずに行なっている意見具申などの活動の責任が大きくなってきたこと。2つめは団体としてさらなる透明性ある運用をしていくこと。法人制度改正もあり、団体としての自由度を確保しつつ、責任ある団体として新たなスタートを切る決断をした。
――現在、国内出願が伸び悩む中、国際出願が急増しているが?
いまやかつてないほどのスピードでグローバル化が加速している。国境を越えて人や情報が動いている。知財の世界でもJIPAが開拓していく余地がたくさんあると考えている。
日本政府も日本再興戦略や知財政策方針、今年の特許法など改正の閣議決定により、知財による、日本の求心力アップの動きをしておられる。グローバルに民族・文化が交流し、新たな価値が生まれる時に、日本企業が国内のリーグ戦のみで生き残るのは難しい。世界はトーナメント戦であり、勝つためには様々な手段を選択する必要がある。昨今活発となってきたM&Aもその手段の一つである。
日本企業は自らを鍛えるためにグローバルなトーナメント戦に出て、海外の足場を作り、「経験知」を蓄える必要がある。このようなことで、海外への出願が増加しているのではと思っている。JIPAは、このような企業に役に立つ「知財」に関する情報を、整理し、伝えていく役割がある。
――TPP交渉をどう見ておられるか?
民間のスタンスは、まず第1は「競争」に勝つ。第2は、海外で企業の足場を作ることで、そのためには「協調」も大事だ。TPPなどの枠組みは、出来る範囲どこまで協調できるかが鍵と思う。利用可能なレベルとなれば、それを踏まえた戦略で入り込めばよいと思う。
また、TPP交渉では見えない面もあるが、先ずは審査の速度や審査の安定性が確保されて、知財制度が事業活動の基盤を担えるようになれば良いと思う。特許庁もASEAN諸国に相当数の審査官を派遣しサポートして、日本企業の事業がやり易いように動いておられる。
現在はかつて経験したことがない程のスピードでグローバルに環境が変化する時代で、知財マネジメントにはこれに対応する知恵が求められている。JIPAは、「世界から期待され、世界をリードするJIPA」と「Creating IP Vision for the World」をスローガンとして掲げている。時代をリードし、価値を生み出す提案を心がけたい。
――アップルやグーグルなどを見ると、知財マネジメントがとても優れていますが?
強い企業のブランド力には必ず技術・品質の裏づけがある。日本企業は今、ブランド力の底上げを図っている。アップルやグーグルの強さの秘訣は知財マネジメントにもある。海外に出てすぐに真似されてダメになるビジネスではなく、将来も地域に役立ち、日本企業の収益に役立つような「知財制度」の活用が求められている。
そのため、いま一番肝心なのはグローバルな視点で「知財マネジメント」が出来る人財の育成だ。JIPAでは、第1に企業の知財活動に必須の基盤人財、第2に変化に対応できる人財、第3にグローバルに活動できる人財、JIPAはこの3つの人材育成のプラットフォームを提供し、会員各社の人材育成に必ずプラスアルファを提供できるように心がけていく。
グローバルの中ではもはや「囲い込み」のクローズの思考回路では勝てないのではないか。また、模倣品の対策も際限が無い。やはり「知財マネジメント」で新たな世界を切り開く力が求められている。JIPAの提供する情報や研修プログラムは、このような観点も課題であると考えている。
――今後の方針を
まず、団体としてビジョンを基に鮮明に舵を切っていく。1つはJIPAの発信力を高めるための対外活動の強化、2つめはイノベーションを加速するための職務発明制度のあり方などの政策提言、3つめは会員各社の活動を支援するためのサービスの向上をさらに進めていく。
企業が新たな事業に取り組み、更にグローバルに進出・展開を図るためには、これを後押しする知財制度は常に見直されるべきと思っている。また、JIPAも変化し続けなければならないと思っている。
今後はJIPAの優れた知財プラットフォームを広めるための対外活動を推進し、JIPAのポリシー、ストラテジー、コンテンツを理解頂けるよう、英語での発信にも務め、各方面からご意見をいただくことで、JIPAをさらに成長させて行きたいと思っている。

日本からの国際特許(PCT)出願件数の推移

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