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立法、行政の民間感覚との違い

木内里美 (株)オラン 代表取締役

1994年12月に行政情報化推進基本計画が閣議決定されて電子政府、電子自治体の行政系情報化がキックオフされた。と筆者は認識していたのだが、あれからほぼ20年、世界的にも先進的だったコミットメントは実態との乖離が甚だしい。

この20年間の情報通信技術の進展はネットワークがグローバルに拡張され、アジアのどこに行ってもWi-Fi網が使え、スマートフォンの爆発的な普及によって社会生活は一変した。
民間企業ではこの20年間で効率化や標準化を対象にしたバックオフィスの基盤整備はあらかた済み、海外拠点進出に伴うグローバル統合やマーケティングやフィールド営業を推進するフロント業務へとシフトしてきている。
官民の意識の差は、存続に対する危機感やコストや効率化やスピードやサービスなどのいずれにおいても格差が尋常ではない。行政府ばかりでなく立法府における「国会にIT機器が持ち込めないルール」は意識格差の最たるものだ。民間感覚では到底考えられない。しかし行政の組織内の業務効率化や国民へのサービス向上は役割として厳然とあり、地方自治体によっては顕著な取り組みも散見される。ただし偏差値の差は甚だしい。
時間は掛ってもトップが気づかなければ・・
民間企業の情報化の取り組みでもそうであるが、まずはトップに強い意識がなければ始まらない。地方自治体の進んだ事例も首長の意識の高さによるところが大きい。筆者が国の「第2次情報セキュリティ基本計画」の策定に携わっていた時、各省庁のシステム担当者からヒアリングをした折に感じたことがある。
それは民間以上に低いシステム部門のステイタスである。民間企業でも、これほどに高度情報通信社会が進展しているにも拘らずシステム部門の評価は相対的に低い。その要因のほとんどは経営者の意識と認識不足に他ならない。「ITは難しい」、「今更人には聞けない」こんな感情が経営者を経営にITを活かすことから遠ざけてしまっている。
行政の実態はさらにその傾向が強い。情報システムに関わることは花形ではないのだ。でもいつまでもそれでいいのか?
経営の資源が人・モノ・金・情報と言われるように、国家の資源も同様である。国の競争力の源泉として情報を捉えなければならない。ガバナンスと継続性において民間以上の困難さが伴う行政であっても、トップが少しずつでも意識を高めて取り組まなければ将来展望は描けない。

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