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第三の針?成長戦略、踏込み不足

-日本を見る世界の眼 6月後半-

この時期の対日海外論調は、新たに策定された成長戦略に注目が集まり、昨年の成長戦略から前進は見られるものの、全体的に不十分であるとの評価が主流となり一層の日本の構造改革への取り組みを求める論調が目立つ結果となった。
6月18日付けのウォールストリートジャーナルは、今回発表された戦略の中には、法人税の引き下げや年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の投資対象の多様化など歓迎すべき内容もあるが、法人税については、35%から30%への引き下げに過ぎず、先進国の平均である25%までには届いておらず「踏み込み不足」とした。
また、GPIFの投資対象の多様化についても、債券投資中心から株式にシフトさせるという「株価維持的施策」に過ぎず、日本にとって必要なことは「民間部門への政府の介入を減らすことが必要」であり、政府が管理する年金基金の持ち株を通じて政府と民間が関係を緊密化することではない、と厳しい見方を示した。
全体的に今回の成長戦略は全体的に「寄せ集め」の印象は拭えず、安倍氏には急激な人口減少問題に取り組む姿勢に欠けており、特に大幅な移民制度改革を避けており、日本が必要としている門戸開放には程遠く、首相就任後1年半が経過した現在、有権者が具体的な成果を目にできなければ、安倍氏への政治的支持が損なわれることになりかねず、大きな経済効果を持つ改革の実現が困難になるとの懸念を示した。
6月19日付けフィナンシャルタイムスは、これまでに安倍氏が放ってきた金融緩和と機動的な財政出動というは2本の矢は、低価格で有名なユニクロの全商品5%値上げや、昨年の1100ドル規模の追加支出が成長率を1.5%超まで押し上げる助けになるなど、それぞれ「妥当な効果」を示してきた。
しかしながら、今回は、「第3の矢」というよりも「針」に過ぎず、1本もしくは2本の針が実際に効くことを願って1000本の針を刺している「見習い鍼師のようだ」という表現で落胆の意を表した。
それらの針の中でも、最も「行き当たりばったり」に刺している針は、法人税であるとし、消費増税で追い詰められた消費者が支出するのを当てにしている時に、豊富な資金を持つ企業に減税を提供するのは必ずしも素晴らしいアイデアではない、と安倍氏が熱心に取り組む法人税減税に否定的な見方を示した。
ここれはさらに、最も強力な針として、環太平洋経済連携協定(TPP)を挙げているが、これは、「安倍氏に扱える針ではない」とし、オバマ米大統領が協定をまとめるファストトラック権限を手に入れられなければ、TPPは「死んだも同然」になると、安倍氏の力量は限定的との見方を示した。

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