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第3回
『インサイドボックス ~究極の創造的思考法』
ドリュー・ボイド 、ジェイコブ・ゴールデンバーグ 著/文藝春秋刊/1,750円(税別)

良質なアイディアを生み出すための五つの「思考の筋道」を紹介

インサイドボックス

インサイドボックス

「型破りの発想」というほめ言葉があるように、一般的には、一定の枠にはめない自由な思考が斬新なアイディアを生み出すと思われがちだ。しかし、本書の主張はその逆。枠がないと思考が無秩序になる。一定の枠内(インサイドボックス)で考えたほうが、集中して頭を働かせることができる。つまり、制約があった方が思考の筋道が明確になるということだ。確かに道路が渋滞していたほうが抜け道を見つけやすい。
本書のメインは著者らが開発した「体系的創造思考法」の土台となる五つのテクニックの解説。これらはアイディア創出のための思考の筋道をパターン化したヒナ型だ。「引き算」「分割」「掛け算」「一石二鳥」「関数」それぞれのテクニックの解説では、「なるほど」と膝を打つ実例が豊富に挙げられている。
注意すべきなのは、この五つの中に「足し算」がないことだ。とくに日本のメーカーは、一つの製品にこれでもかというくらいの機能を「足して」いきがち。結果、使いづらい製品になり失敗する。五つに含まれる「掛け算」は足し算とは違う。子ども用自転車に補助輪をつける、というように増量した要素に変更を付け加える。
茶道や落語などの修行のあり方を表す「守破離」という言葉がある。はじめは師匠の教える「型」を守り、次にそれを応用して自分のものにしていき、最後は「型」から自由になる、というものだ。本書で紹介されている創造技法は、守破離の「破」にあたるものではないだろうか。五つのヒナ型を応用していくうちに、いずれ「離」に達する。五つのテクニックは、創造的思考の達人になるための足がかりであり、自転車の補助輪のようなものと考えるべきなのだろう。
(情報工場・編集部)

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