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良心」から企業統治を考える

良心」から企業統治を考える

第6回
『「良心」から企業統治を考える』日本的経営の倫理

田中一弘 著/東洋経済新報社刊/1,800円(税別)

「良心」「自利心」二つのキーワードを
もとに日本型企業統治の理想像を提言

「コーポレート・ガバナンス」という言葉はビジネス用語として定着しているが、「身近に感じられない」「違和感を抱く」と言う経営者が少なくないのではなかろうか。
欧米型のコーポレート・ガバナンス(企業統治)とは、株主を重視し、独立性の高い取締役会が経営者を厳しく監督する、というもの。だが、やはり「違和感」ゆえか、日本では企業への本格導入はさほど進んでいないのが現状だ。
本書では、「自利心」と「良心」というキーワードをもとに、この違和感の正体に迫っている。自利心とは「他者のためにならなくても自分のためにはなる」こと、良心とは「自分のためにならなくても他のためになる」ことを、それぞれ志向する心である。
欧米型の企業統治は、経営者は自利心のもと行動することを前提としたものだ。それに対して日本本来の企業経営は「良心」を軸として行われてきたため、どうしても「違和感」が生まれるのだという。
本書は、「自利心」「良心」それぞれの性質を詳細に分析したうえで、「良心」こそ日本型企業統治の核心であり、日本企業の強味として世界に範を示すべき、と主張する。
だが著者は「自利心」を100%否定しているわけではない。ハングリー精神を生むなど「自利心」のメリットを認めたうえで両者を併用すべき、としている。ただし併用するにしても「良心」が主、「自利心」が従というバランスは保たなければならないという。
人は誰しも自分の内側に良心と自利心の両方をもっている。そこで自利心をうまくコントロールしながら良心を基本において行動することが「良い人生」を歩む秘訣といえる。企業経営も同じことなのだ。(情報工場・編集部)

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