政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


第一次産業におけるIT

木内里美(株式会社オラン代表取締役)

活用価値の高い一次産業のIT

ペティ・クラークの産業分類でみると、次数が高いレイヤーの産業ほどITの活用が先行し効果も顕著であるように思える。つまり第三次産業の金融や運輸・流通やサービス業などにおけるITは必須であるばかりでなく、ビジネスモデルそのものがITベースになっていることが多い。
第二次産業においても既に事業のプロセスそのものが情報システムに乗って動いている企業が多くなり、製造業が生産する製造物の多くはコンピュータが組み込まれ、ソフトウェアで制御される組み込み製品である。ITへの依存度が高い企業はシステム障害が致命的になることもある。システム障害が致命的とまでは至らなくても多くの企業が混乱をきたすことは間違いない。
一方、農林水産など第一次産業においては、まだITの活用が限定的である。それは逆にこれから活用価値を高められる期待が大きいことを示している。その中でも農業に関わるIT活用が注目され出している。
農業におけるIT
もう7年も前になるが、経済産業省のCIO戦略フォーラムでカルビーの中田社長(当時)から伺った話は印象深かった。国内の契約圃場で原料の馬鈴薯を栽培する際に、肥培管理にITを活用している事例であった。圃場にウェザーステーションというセンサーと発信機を設置し、日射、雨量、風向風速、温度、土壌水分のデータをセンターに送り、育成データなどと一緒にインターネットを通じてオランダのDACOM社にデータを送る。
DACOM社はデータを分析し、防除タイミングや適正薬剤そして農業灌漑の情報を送ってくる。これをもとに圃場の管理が行われるのであるが、このように農地環境制御にITを活用することは、気象変動の激しい今日においては国際的に常識化しているという。
そのほかにもITは植物工場の環境制御や品質のトレーサビリティにも使われている。農業のITは耕作機械のロボット化などハード分野にも、農業生産データ分析による品種改良や生産性向上などのソフト分野にももっと生かせるだろう。
食の安全を大切にする日本の農業では、無農薬や有機栽培で価値を高める生産農家も多くみられるようになってきたが、需給バランスが最大の課題だそうだ。作物の引き取りが確定しているなら安心して有機農業に取り組み、生産量も高められると小川町で30年以上も有機農業に取り組んできた金子美登さんは言う。品質トレーサビリティとともに需給マッチングのシステムが食の安全や食育にも貢献できそうだ。

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