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「システム開発の勘所」

鶴保征城 (HAL東京・大阪校長)

システム開発をめぐるトラブルが相変わらず後を絶たない。原因はいろいろ考えられる。この分野は「No Silver Bullet」と言われるぐらいだから、特効薬はないのだが、留意すべき項目はいくつかあげられる。
まず第一に、業務とシステムが切り分けられているかどうかだ。「えっ、業務をシステム化するのが、システム開発ではないのですか?」と怪訝に思われるかもしれないが、そうではない。業務は人間系を含んだ企業活動全体、システムはその中でコンピュータにのせる部分、と理解すべきだ。
次に大事なのは、人間の判断等を含まない部分と含む部分に分離することだ。受発注業務で説明すると、前者は帳票が回覧されるところ、後者は与信チェックをしているところになる。与信チェックは外部に問い合わせたり、上司の判断をあおいだりすることが避けられない。在庫管理における棚卸も同様だ。これらの判断は日常的に変化する。
病院でいうと、医者が診察して検査や注射を指示するのは前者、投薬する薬の併用禁忌チェックは後者。
マクドナルドに行くと、マニュアル通りの挨拶を受けた後で注文する。挨拶は業務としては極めて重要だが、システムは注文されたモノ(だけ)を知ればよい。挨拶までプログラム化すればお笑いだが、現実にはそれに近いことが起こっている。
基幹システム全体をまとめて定義・構築するのではなく、前者をメインシステム、後者を部門システムとして明確に分離しなければならない。前者は仕様が決まり易いが、後者は決まりにくい、また変わり易い。メインシステムは部門システムから答えをもらって動作することに徹すればよい。
従来日本語で記述していた業務の定義を、BPM(Business Process Management)が規定するフォーマットで記述することは大きな進歩だ。ただ注意すべきは、人間系を含んでいるということだ。したがって、BPMNで緻密に記述しても、そのままではシステムには落ちない。まして、コードを自動生成することは不可能に近い。
そもそもBPMというのは、人間が実施する仕事や承認・意思決定を含めたビジネスプロセス全体を管理するという考え方から生み出された。だから、コンピュータに落とすかどうかの分析は別途必要で、これがBPMS(BPM System)という考え方だ。
ユーザーがシステム構築を企画する場合、このような話をベンダーにして通じなかったら要注意だと思う。

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