政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


  独立行政法人産業技術総合研究所知能システム研究部門
   比留川博久氏に聞く

独立行政法人産業技術総合研究所知能システム 比留川博久氏

独立行政法人産業技術総合研究所知能システム 比留川博久氏

最近のセンシング技術の中では「距離計測カメラ」が面白い。従来、1台50~100万円したものがマイクロソフト社のKinectの登場により1万円となり、2000万台以上販売されている。形状データが簡単に手に入ることを前提とした応用研究が活発化している。
また、壁にあてたパルスレーザーを観測して、カメラから見えない物陰の物体を見ることのできる「ルッキング・アラウンド・コーナーズ」や産総研の「高速形状計測技術」も面白い。カメラと波線格子パターンを投影して高速に変動運動する対象物の計測・分析、衝突計測ができる。
複数のレンズで撮影した映像をコンピュータ処理し、植木越しにいる人物を撮影できる「ライトフィールドカメラ」、高分子素材で作った、フィルム形状の「フレキシブルセンサ」(産総研)は、印刷法で大量生産が可能になる。安価で人に装着できるため、医療・福祉用センサーへの応用が期待されている。
マニピュレータでは、双腕ロボットが今、安川電機、川田工業、ABBなどが次々、参入して活況を呈している。中でも、米のベンチャー、リシンク・ロボティクスの「Baxter」は人と同じサイズで、工場での人の作業を代替するロボットだ。価格も2万2000ドル。性能はまだまだだが、価格的には驚異のロボットだ。
グーグルカーに代表される自動運転も研究が盛んだ。気になるのは日本の道路の規制の多さ。これでは自動運転が可能となるのに100年以上はかかってしまうだろう。脚移動技術も米国がどんどん新しい技術を取り入れつつある。面白いのは飛行技術だ。ドイツのFesto社の羽ばたき型飛行ロボット技術「Smart Bird」。カモメ型をして羽ばたきながら飛行でき、翼が2メートルあっても、500グラムと軽量で、低消費電力(23W)。見ていても面白い。
今後の日本のロボット開発に期待しているのは、1000億円くらいの中堅・中小企業だ。サービスロボットの市場は600億円程度。そこに毎年200億円位の研究投資が行われている。産業用ロボット市場が6000億円で250億円であるから、かなり研究主導型であり、市場拡大が求められる。
市場を見ても、手術支援、薬の調剤支援、機械警備などで60%を占めている。この市場規模では大企業は参入してこない。ベンチャーに期待したくとも資本金が66億円くらいあるベンチャ―は日本ではサイバーダイン1社のみ。米国にはiRobotなど同規模のベンチャー企業がごろごろいる。その点を今一番、危惧している。

ロボット・AIと拓く未来

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