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農業改革決着、変化に注目

エコノ誌、雇用制度改革を強く主張

-日本を見る世界の眼 2月-

この時期の海外メディアは、安倍政権が規制改革の目玉として据えていた農協改革が決着を見せたことを機に、日本の経済構造、雇用慣行に切り込む一方、日本の企業に変化が起こりつつある現状に注目していることが浮き彫りになった。
2月11日付けの仏レ・ゼコーは、2月9日に決着した農協改革によって、全国農業協同組合中央会 (JA全中)は各地農協に対する監査・指導権を失うことになるなど、JA全中の解体により農業市場の開放など構造改革が進められる方向が定まったが、今回の農業改革の影響が決して小さくないのは、これまで環太平洋連携協定(TPP)締結に強く反対していたJA全中の解体によりTPP交渉に弾みがつくことであるとの見方を示した。
2月19日付けエコノミスト誌は、ピケティ氏の『21世紀の資本』を引用し、富が一部に集中するようになった先進国の一つとして日本が登場していることに対し反論を試みた。日本の富裕層上位1割が保有する富の割合は、ノルウェーやスウェーデンなど平等主義で有名な国よりも低く、日本で上位1%が手にする国民所得の割合は、2008年の9.5%がピークであり、2012年には9%に低下しているなど実際に最上位の富裕層に流れる所得の割合はかなり安定したものであるとの見方を示している。
ピケティ氏が言うような金持ちとその他の格差よりも、「終身契約の特権階級の労働者と、近年労働人口に占める割合が高まっている、より不安定な雇用の労働者の格差」こそが問題にされるべきであるとした。日本にとって、最も必要なものは雇用制度改革であり、未だに日本は成果よりも年次と地位に対して報酬を払っている現状こそが「悪平等」であると論じている。もし働く人に対し達成した成果に正当な報酬が支払われたら、経済はより速く成長するとし、日本の雇用制度改革を強く主張している。
同日付けのフィナンシャルタイムズは、株主の半分以上が外国人となっている世界最大のロボットメーカーであるファナックを俎上に上げている。外国人投資家は「訪問者」であり、その訪問者は「概して歓迎されない」と投資家との接点は四半期ごとの報告に限られている現状を揶揄しながらも、5500人の従業員数で従業員1人当たりの収益はゴールドマン・サックスより25%も多い現実を例示し、「訪問者はお金を見せてもらっている」との表現で同社の高収益性に注目している。
しかしながら、多額の現金を眠らせているファナックの株式の構造は「不合理」だとし、投資家に手元資金を還元すべきだとしている。一方で、過去10年間で複数の「アクティビスト」が日本企業への介入に挑戦しているが、その大半は日本の商慣行に関する知識が乏しく、ほぼすべてのアクティビストは拒絶されてきたとの例示しながらも、近年では上場株式の30%以上は外国人が保有している現実を踏まえ、コーポレートガバナンス(企業統治)においては「ミニ革命」が起きており、機関投資家向けの行動原則である「スチュワードシップ・コード」はコーポレートガバナンスの規範が準備され、企業経営者は日常的に自己資本利益率(ROE)について語るようになったことは前進であると評価している。
企業が利益を再投資したり、賃上げしたり、あるいは株主還元を増やしたりすること自体の経済に対するインパクトは有益であり、そのような動きを加速させる必要があるとしている。

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