政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


亀井正博理事長

亀井正博理事長

6月に一般社団法人日本知的財産協会として2代目の理事長についた亀井氏に今年の方針を聞いた。

一般社団法人日本知的財産協会(JIPA)
亀井 正博 理事長に聞く
(富士通㈱法務・コンプライアンス・知的財産本部副本部長)

日本の産業界の現状はグローバルに市場を見ていかなくてはいけない時代に入った。その中で安倍政権が立てられている成長戦略を企業としてどう描いていくか?企業自身まだ完全には描ききれていない状況だ。
知財があればマーケットで勝てるという単純な時代ではなくなってきており、ビジネスでどう儲け、そこを知財がサポートしていくかが重要である。
最近、日本の特許出願が減ってきているが、日本で知財を持つ意味が変わってきっている。市場の今後20年を見れば、製造部門が海外にある時、新興国市場で知財権利の取得に注力していくのは当然で、競合他社のいる国に出願している結果である。
研究開発費が落ちているという議論もあるが、研究開発費の尺度が統一できていない面もある。今、企業はどこで開発し、どこで組立て、どこで売るか千差万別で、車もICTも単一プロダクトでグローバルに売るものは限られている。そのため、日本企業としては市場を絞りつつPCT出願を増やしているのが実情だ。
いまや中国が世界一の特許出願大国となってきている。クローズドな市場の中、権利意識が高まると予想され、訴訟社会になるのではという恐れがあり、何が起きるかわからない。日本企業にとっては、FTAやTPPになるまでは市場を広げるのは難しいと感じている。そのため、今ASEANが注目されているのではないか?
JIPAは70年の歴史のある、独立性の高い民間企業の集まりであり、政策提言などを通じ会員にオペレーションを続けていく基本は同じである。
1つ付加するとすれば、価値観の多様性が顕在化してきている。例えば、生物多様性条約や気候変動枠条約、農業、人命など今後マーケットとして見た時に、知財を意識する必要性が出てきている。ここには途上国と先進国との間の多様なテーマをどう協調させていくかの課題もある。JIPAに多様な人材がおられるのでそれらを活用して対応して行きたい。
JIPAのシンポジウムにはWIPO(世界知的所有権機関)のガリ事務局長が毎年参加してくれている。一時、途上国が「地球温暖化に関する知財は我々に無料で開放しろ」という強い意見が出されたが、JIPAが提案して、WIPOが環境に関する知財をライセンスするプロジェクトが進みつつある。
そのため、ガリ事務局長には信頼が厚く、今年はWIPOの抱える課題について、「ユーザーの立場での意見」を出すことになっている。JIPAは機械、電気、化学など非常にバランスの取れた世界最大の知財の民間団体であり、「世界に知財は今後どうあるべきか」など世界をリードしていく役割がますます期待されてきており、その信頼に応えて行きたいと考えている(談)。

近年、特許出願件数は減少傾向だが、PCT出願を伸ばす傾向にある

近年、特許出願件数は減少傾向だが、PCT出願を伸ばす傾向にある

今後は「オープンクローズド」の必要性が高まってきている

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