政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


「中小企業の力と経営者依存」

木内里美(株式会社オラン代表取締役)

光る技術を持つ中小企業
日本の経済活動を支えているのは中小企業であると言っても過言ではない。国内総生産(平成25年名目)の20.9%を占める製造業ばかりでなく、サービス業(22.4%)も卸売・小売業(16.3%)も建設業(6.6%)も情報通信業(6.3%)も押し並べて中小企業、零細企業が支えている。
そんな中で特に情報通信分野では中小企業の持つ光る技術力が目立つ。この分野は必ずしもまとまった設備資産や装置も必要なく、スタートアップ企業やベンチャー企業が活躍しやすい分野でもある。逆に言うと製造業などと比べ、設備投資力のある大資本会社が格別優位に企業活動できるわけでもない。進化の速い情報通信技術を背景に、時代に即した発想とスピードと知恵が生きる分野であると言える。とは言っても光る技術を支える起業時の資金は必須である。その調達に苦労している中小企業も多い。
欧米でも情報通信分野ではスタートアップ企業やベンチャー企業がたくさん生まれ、芽生えて注目されてくるとM&Aで買収され、資本を得てさらに育っていくという構図が見られる。日本とはベンチャーに対する懐の広い投資環境と成長させるためのダイナミックな活動に違いを感じる。その違いは技術よりも経営者の人格次第という形で現れる。
社長の人格で決まる経営と事業
中小企業では会社を引っ張る社長の特性が企業活動に大きな影響を与える。営業が得意な人もいるし、ファイナンスに強い人もいる。マーケティングに優れた社長もいる。これらの要素が創業メンバーに揃ってスタートできるような会社は稀であろう。中小企業の多くは創業時の社長の思想や発想や活動に影響される。情報通信分野ではさらにキーとなる技術者の存在が欠かせない。社長が技術の中核を兼ねる会社もあるが、経営の担い手と技術の担い手が意気投合して起業するケースが多い。このバランスの良い会社は成長が見込めるし、実績の上がっている会社は間違いなくバランスがいい。
逆に社長の人格が災いして衰退していく中小企業にも時々遭遇する。光る技術を持っていながら社長がその技術に驕りや慢心を持ち、さらなる改良を怠り、コラボレーションのチャンスも活かさず閉塞していく事案に遭遇したことがある。あるいはビジネスであるにも拘わらず、パートナーや顧客に対して誠実な対応が出来ず、その振る舞いが敬遠されて衰退していく事案も目の当たりにしたことがある。
大企業と異なり、中小企業では社長の人格がストレートに出てしまう。裁量力が直接影響する。会社を成長させるのも潰してしまうのも社長の人格に依存しているのが中小企業の宿命である。
以上

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">