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「観光立国 日本」

鶴保征城 (HAL東京・大阪校長)

成長戦略の一つに世界の観光需要を取り込む観光立国がある。2003年の小泉内閣におけるビジットジャパン事業がスタートだが、それ以来、2008年観光庁発足、2013年省庁横断的閣僚会議の設置など、歴代内閣が連綿として施策を推進してきた。
ソフト面でも、ビザ発行条件が大幅に緩和された。2013年にタイ、マレーシアに対して数次ビザからビザ免除に緩和したのを皮切りに、東南アジアを中心に実施された。
この結果、訪日外国人旅行者は2011年の622万人から2012年836万人、2013年1036万人、2014年は1341万人と大幅に増え続けている。今年に入っても、対前年比40-50%増で推移している。
銀座では有名店の前に観光バスが横付けされ、主要な通りを外国人旅行者が闊歩している。郊外の軽井沢でも、アウトレットや有名観光スポットで多くの外国観光客が楽しむ風景がすっかり定着してきた。
旅行消費額も拡大の一途で、「爆買い」と言われる買い物を中心に、2014年には2兆300億円に達している。これには昨年秋に実施された消費税免税の効果が大きい。
従来から外国人旅行者に対する消費税免税制度はあったが、今回は店頭でリファンドされること、消耗品(薬品、化粧品など)も対象になることなど、役所としては画期的な緩和策が実施された。
2兆円という額は、「観光」を製品に例えると、製品輸出額に相当すると考えられるが、複写機・カメラ2.4兆円、造船・舶用品1.6兆円、農林水産物6100億円、エアコン1600億円、テレビ1100億円と比較して、かなり大きいことがわかる。今や観光は複写機・カメラに匹敵する一大産業になったといえよう。
しかし問題も残っており、外国人が一人歩きしても大丈夫な環境を提供する無料公衆無線LANもその一つである。NTTグループが10万スポットに拡大し、JR東日本も山手線全駅に展開しているが、周知・広報の方法や認証の簡素化などまだまだ課題が多い。
魅力ある展示会を観光と結びつける施策も重要であるが、大型展示場の不足がネックとなっている。日本では東京ビッグサイトが最大だが、世界最大のハノーバー(独)に比べると約6分の1の規模である。展示場総面積でも米国の20分の1で、経済規模に比べてあまりにも小さい。
その理由としては、業界では従来、展示会は業界のお祭りのようなもので、ビジネスとして捉える感覚に欠けていた。いまや、一つの展示会で経済効果数十億円、商談数百億円という規模になってきたように、今後早急な取り組みが必要である。
観光に関して数だけを議論するのは方向違いだが、外国人旅行者がドイツや英国の3000万人、タイやマレーシアの2500万人に達するのは、確実に視野に入ってきたといえよう。

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