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ドイツ人はなぜ、1 年に150 日休んでも仕事が回るのか?

ドイツ人はなぜ、1 年に150 日休んでも仕事が回るのか?

第30回
『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』

熊谷 徹 著/青春出版社 刊/880円(税別)

休むことは「権利」というより「義務」
法律に従順な国民性が生む高い労働生産性

ドイツという国に、最近になってにわかに注目が集まっている。きわめて高い経済パフォーマンスを示し低迷する欧州経済を牽引するドイツの姿は、低成長にあえぐ多くの先進国に希望を与えるものだ。そんなドイツとドイツ人に対して我々が抱くイメージの上位には「勤勉」の二文字が入るのではないだろうか。
日本人の国民性も「勤勉」と評されることが多い。だが、日本人とドイツ人の「勤勉」の中身は異なることが、本書を読むとよく分かる。ドイツ人は短い労働時間で高水準のアウトプットを上げている。労働生産性が高いのだ。日本人は「長時間働くこと=勤勉」と考える風潮がある。
ドイツでは法律によって、各企業の労働時間を厳しく管理している。彼らにとって、休むことは権利というより義務なのだ。ドイツ人が勤勉なのではなく、国の「制度が勤勉」という言い方もできよう。国民は法律に従順だ。
ドイツ人自体は個人主義で自己主張が激しいという。それでも法律は守る。なぜか。それは、多くの国に陸続きで囲まれたドイツの地政学上の理由が大きいのだろう。しっかりと制度を構築しないと、国民がばらばらになってしまい、敵国につけこまれて国家が無くなってしまう。そんな危機感を全国民が共有しているのではないか。
そう考えると、日本でドイツの制度をそのまま取り入れても実効性は低いのだろう。ただ日本人は国よりも「企業に従順」という見方もある。ならば、各企業が労働について考えていくことが、日本とドイツの労働生産性の差を縮めるきっかけになるのかもしれない。

(情報工場編集部)

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