政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


 平成27年10月3日(土)午後1時から拓殖大学文京キャンパスのC館101教室において日本イノベーション融合学会(有賀貞一会長、高梨智弘理事長)2回研究発表大会が開催された。

小野瀬由一・副理事長の司会により開会され、有賀貞一・会長から、「当会もいよいよ3年目に入り、本格的な活動を展開していきたい」との挨拶があった。高梨智弘理事長からは学会会務の経過報告があり、学術作成委員会については、これまで研究発表会・年次大会・活動報告会で発表した人たちから論文を提出してもらい、その中から20名ほどを選抜し、来年3月末を目標に学術誌を出したいとの報告があった。

拓大・小池副学長

拓大・小池副学長

会場を提供してくれた拓殖大学の小池和良・副学長から、「グローバル社会が到来し、多様化した社会において、スペシャリストは多いが、ジェネラリストが不足している。この学会はジェネラリストの育成に力を入れている。人間の記憶力は年齢と共に衰えるが、繋がりを発見する能力は逆に発展していく。異分野間の融合でイノベーションを進めることは繋がりを発見する能力を高める」との挨拶があった。

経産省・住田審議官

経産省・住田審議官

来賓挨拶として経済産業省の往田孝之商務流通保安審議官から、「この学会から教えてもらっている融合によって、日本の商務と流通と保安の融合を図りたい。融合のためのツールはITである。宅配業者の不在宅配は3割に及ぶ。これをビックデーターにより、顧客の不在情報が把握できれば、余計な配達をせずにすむ。またキッズデザインという見守りサービスにおいて、子供の事故・怪我の傾向性をデーター化し、予防するしかけを作り、子供の安全・安心に貢献するデザインで保安してくことも必要。この学会が新産業構造及び、社会の変革のリーダーになられることを期待する」との話しがあった。

ITCA・播磨会長

ITCA・播磨会長

基調講演は「イノベーションIT経営へのITコーディネータ協会の対応」というタイトルで播磨崇ITコーディネータ協会(ITCA)会長が語られた。まずはスマートフォン・自動車・医療器具などの事例を中心としたITの新潮流について解説、それらIT新潮流による経営環境の変化から、イノベーション・スピード・グローバルという攻めのIT経営が必要となることを説いた。またITコーディネータ協会の攻めの取り組みを支援体制強化、人材育成、創業支援、企業間連携の4つの観点から説明した。
講演1では、山村延郎拓殖大学商学部教授が「金融の知とイノベーション」というタイトルで講演した。2011年3月11日の東日本大震災後に起きたメガバンクであるみずほ銀行のシステム障害(63万件の一括振替障害)の事例を通し、経営陣がシステム全体を俯瞰できず緊急対応ができなかったことが問題だった。日本の金融業はグローバル化・巨大化・広範化しているためITシステムが複雑化してしまい、システム全体を俯瞰できる人材が不足している。このため金融改革が必要との内容だった。

講演2では、下崎寛税理士不動産鑑定士が「海外プロパティ・アンド・タックスマネジメント」というタイトルで話された。中国の北京政府は東京都の政策を学ぼうと努力している。過去に公害問題があった東京都が如何に改善したのかを知りたがっている。また中国はドイツのインダストリー4.0を学んでいる。日本における海外投資ブームは①バブル期、②バブル崩壊後、③J-REIT(投資信託)上場時、④現在のアベノミクス時である。今後、マイナンバーの導入も含め、税務署の補足が厳しくなる。すでに平成21年度から100万円以上の国内・国外送金のデーターは税務署に残っており、注意が必要との内容だった。
講演3では山口揚平公認会計士が「東芝と新しい会計のイノベーション」というタイトルで解説した。東芝の粉飾の概要を社会インフラ部分・デジタルプロダクツ部分・電子デバイス部門の3部門に分けて分析した。パソコン事業の月次推移(売り上げと利益の比較)を表に表し、利益の増幅が大きく(売り上げよりも利益が高い)なればうそ発見器のように粉飾していることを知ることができると指摘した。
従来型予算管理は結果重視であり、やるべきことを軽視してきた手法であったが、今後は脱予算経営という結果よりもやるべきことを重視する手法が重要であり、このような柔予算経営に切り替えることが望ましいとの内容だった。
講演4では、田中亨新潟大学大学院特任教授が「ブラジルの脈動とイノベーション」というタイトルで話された。民間企業で34年、そのうち、ブラジルで28年も勤務してきた経験から、ブラジルの概要・政治史・経済力・社会文化の特徴を説明した。またフレックス燃料自動車(エタノール混合ガソリンで走行できる車)としてPETROBRAS(石油会社)の技術革新の事例を紹介した。ブラジルの海底油田の埋蔵量と採掘方法、さらには今後の政治及び、経済の動向を語った。

慶大・常盤特任講師

慶大・常盤特任講師

研究クラスターの活動紹介として、アーカイブの知拠点を担当している常磐拓司慶應義塾大学大学院政策メディア研究科特任講師が「ファブ地球社会で新産業創出ができるか」をテーマに報告した。ラスコー洞窟壁画(絵画)や、グイードの手(左の手のひら・関節の上に絵の音名+シラブルを配したもの)で旋律表現した例から、アーカイブの活用の意味を説明した。また物流が消滅するファブ地球社会の到来における創造的生活者のあり方を3Dプリンターを用いて、義手や組み立て自動車の制作実例を通し説明した。
最後に次世代コードの知拠点を担当している東陽一A・Tコミュニケーションズ代表取締役社長が「マイナンバー対策・漏えいしても安全な仕組みの提案」をテーマに報告した。
次世代2次元コードのセキュリティーロゴQ(特許)のキャッチ力とセキュリティー力の2点を説明した。またロゴQの活用事例をワインのラベル(商品ラベル)で製造・流通・マーケティング・トレースという商品のライフサイクルで解説した。マイナンバー文字の暗号化の解読は不可能であり、コピー&ペースト(複製)も不可能であることを実演で示した。
研究発表会終了後は、午後6時15分から拓殖大学C館7階ラウンジで懇親会が執り行われ、盛会の内に全てのプログラムは終了した。
 (報告者 知のオリンピック委員 藤懸庚汪)

 

イノベーション融合学会、第2回研究発表大会

イノベーション融合学会、第2回研究発表大会

イノベーション融合学会、第2回研究発表大会開く (10月15日号)」 に1件のコメント

  1. 『次世代コードの知拠点/東陽一/マイナンバー文字の暗号化の解読は不可能/報告者 知のオリンピック委員 藤懸庚汪』

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