政策と産業の最新動向を伝え、解説する“クオリティペイパー”


「これからの組込みソフト産業の展望」
経済産業省商務情報政策局情報処理振興課長
渡邊 昇治氏に聞く

渡邊 昇治氏

渡邊 昇治氏

経済産業省がIoT時代に入り、再び組込みソフトウェア産業の振興に取り組む。そのポイントはAI(人工知能)の進化にあるという渡邊課長に今後の政策のテーマを聞いた。

これからポイントはAI(人工知能)だと思っている。過去何度かブームがあったが、今回は実現可能性が高くなってきている。コンピュータと通信技術の進歩で大量のビッグデータが蓄積でき、これをうまく処理するためにはAIが必要であり、AIを動かすコンピュータの性能も上がってきている。
AIとビッグデータとそれを処理できるIT技術が進歩して、ビッグデータの蓄積が進めば進むほどAIは賢くなっていくため、非常に相性の良い関係ができつつある。
今後、AIの導入やビッグデータ解析が進むと社会はどう変わっていくのか?米国ではAIの進化により、人の仕事が奪われるといったレポートも出ている。一方、高齢化社会になって、体力等が衰えてくると、AIの助けが有効かもしれない。
ロボットや自動車を高度化させていくためにはAIが必須となってくる。AIが普及した際、社会や産業がどう変化していくのか、ビジョンを検討しておく必要がある。ある意味、法律面の検討も必要だろう。
また、いろいろな分野でAIの導入を実証していくことが大事であり、それがIoT推進コンソーシアムの一つであろう。特に経産省ではIoT推進ラボを担うが、IoTのビジョンを検討したり、どのようにAIやIoTを使いこなしていくか、実証研究等を行っていく予定だ。

-  -  - 組込みソフトウェア業界はどのよう変わっていくのか?
元々、車もロボットも組込みソフトが搭載されていて、これがより拡大していくのは間違いない。さらに、医療機器やヘルスケア製品なども、より高機能のAIを搭載したものになっていく。学習機能のついたAI付き組込みソフトが出始めている。
例えば、産業用ロボットではベテラン作業員の作業をAIが学習して、真似するようになってくる。医療や介護の世界でも、人手で行ってきたことが機械化され、ロボット型の機械となり、そこにAIが搭載され、手術や介護での現場を支援していくようになる。最新の暖房便座は、その家族の生活パターンを学習し、夜間には起きない家族であれば、スイッチを切って節電してくれる。
組込みソフト業界では、AIを織り込んだソフトウェアの開発が必要になってくる。組込みソフト業界の方からAIやセキュリティ等の新たな技術を搭載したソフトウェアを提案し、ビジネスを変えていくチャンスでもある。1つ1つオーダーメイドで組込みソフトを作ってきた時代から、いろいろなメーカーに対して汎用的なソフトを提案して行く。その際、モジュール化したプログラムを組み合わせて対応するような形が必要かもしれない。大手メーカーでも競争領域以外のところは標準化する動きが出てきている。

-  -  -今後、政策的にどのような取り組みをするのか?
これから組込みソフト産業は、仕事が増え、納期が短くなり、さらに付加価値も要求され、競争環境も厳しくなっていく。加えて、セキュリティ対策やミスのないプログラミング、さらにセキュリティ対策もあって下請けを安易に使えなくなったり、人手不足感も強くなる。
政策としては、1つはしばらくやっていなかった組込みソフト産業の動向や市場の実態調査をする予定だ。個別のヒアリングも行い、実態把握をまずしたい。
2つめは、ソフトウェアの技術戦略的なものが必要だと考えている。AIやセキュリティ技術の進歩による組込みソフト産業への影響などを議論してみたい。クラウド化も進むであろう。組込みソフトはより「提案型」の産業に移り変わる必要がある。
3つめは、ミスが起きないように事前に確認できるような新たなプログラミング手法の開発等を支援していきたい。
「組込み」というと下請け的なイメージでみられる傾向があるが、これは打破していきたい。PCでは、PCメーカー名だけでなくCPUメーカー名も有名だ。同じように組込みソフトも、システムをコントロールしている中枢システムとしてアピールできる可能性がある。インテリジェント・ソフトウエアのような呼び方で、イメージを一新させていきたいと考えている。
(文責編集部)

 

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