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健康寿命を伸ばせ!

木内里美(株式会社オラン代表取締役)

日本は長寿国か?
日本人の平均寿命は2013年に男女共80歳を超え、男性80.21歳、女性86.61歳になった。WHOの統計による世界ランキングでも男女平均で1位、女性で1位、男性で6位である。このデータを見る限り日本は長寿国と言えるかもしれない。しかし男女平均で80歳を超える国は30カ国近くあるので、人類の長寿傾向は日本だけのことではないようだ。
一方最近よく話題になる健康寿命というのがある。厚生労働省では「日常生活に支障のない期間」と表現している。つまり入院加療が必要になったり寝たきり状態になったり認知症などに罹患することなくQOL(Quality of Life:人間らしく生きる生活の質)を保って生きる期間のことである。単純に心身健康で生きられる期間と考えればいい。
2013年の日本人の健康寿命は男性71.19歳、女性74.21歳であった。健康寿命の世界ランキングでも日本はシンガポールに次いで2位であるが、問題は平均寿命と健康寿命のギャップにある。
その差は男性で9.02歳、女性で12.40歳である。こんなに長い不健康な期間、あるいは寝たきりの期間があるという現実には改めて驚きを感じる。そしてこの差は一向に縮まる傾向を見せることなく推移している。

まだ研究が進んでいない「健康」
 こうして寿命を考えたとき、平均寿命に価値を求めるのではなく、健康寿命に価値を求めるべきことがわかる。理想はこの差が縮まり、やがて無くなることだろう。では健康とは、また健康のエビデンスとはなんだろう。
臨床医から伺ったこともあるのだが、実は「健康」はまだ研究が十分されていない領域なのである。生体情報から健康のエビデンスを求める試みも未完である。健康のエビデンスが明確でないために、個体差に対応する最適運動やサプリメントの有効性も明確ではない。そんな状況のなかで健康を維持し管理するヘルスケアの意識や活動が広まってきている。
スマートフォンにもヘルスケアデータを測定するアプリが増えている。ウェアラブル端末の多くはヘルスケアのモニタリングに使われるようになるだろう。そうしてライフサイクルでの健康状態のデータが収集され、医療のデータとも繋がって個体データの集積が出来るようになると、健康のエビデンスがわかるはずである。
高齢化が進む日本の医療費や介護費は、多くが平均寿命と健康寿命の間で使われている。各人が健康を意識し、生活を改善し、健康に投資することを始めなければならない。健康を研究し、予防医学が発達し、健康寿命を延ばし、平均寿命との差をなくすことができれば、社会コストの大幅な削減ができることは間違いない。

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