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地方創生農林水産業ロボット推進協議会会長 加藤百合子さん

地方創生農林水産業ロボット推進協議会会長 加藤百合子さん

農業分野にジャンヌ・ダルクが登場
日本に向いた地産地消のロボット開発に取り組む

農業用ロボットの分野にジャンヌ・ダルクが現れた。地方創生農林水産業ロボット推進協議会会長を務める加藤百合子さんだ。静岡県菊川市に在住の2児の母であり、子育てをしていく中で農業の大切さにめざめ、エムスクエアラボを設立、地元の野菜をこだわりのレストランへつなぐ「ベジプロバイダー」を成功させ、農業に深くかかわるようになった。
元々、東大の農業機械科を卒業、英国で修士を取りNASAのプロジェクトにも変わっていたエンジニア魂に火がついたのは農作業の現場を見たときだ。「農家の平均年齢は66・9歳。すでに従事者は100万人を切り、あと5年でたいへんなことになる。それなのに農作業の業務分析が全く出来ておらず、どうすればロボット化できるのか、今模索中です」。
現在、米・小麦・ジャガイモ・みかん・トマトの5品目に絞り、マクロ分析をはじめている。「現在の農業用ロボットは大学の研究室レベルでしかない。ロボットに合う農業体系を作っていく必要がある」と加藤は語る。どの作業に何時間かかり、初期投資のコストと労働コストを比べ、どの時点で見合うかを研究している。
日本の農地はどこも小規模なため、機械化が難しく、最新の工業技術の情報も全く入ってきていなかった。「そのため、農機ですら安全の仕組みが整備されておらず、事故データも取られていなかった、忘れ去られた分野だったのです」。
先日、協議会で農業の「除草」をテーマにワークショップを開いた。「大手企業と中小企業が組んだ8チームのアイデアには、農家の人が驚くようなイノベーションに溢れる提案がたくさん出て来て、とても盛り上がりました」。
農業分野は市場規模が小さいため大企業は参入しにくいが、地域ごとにものづくりをやりたい優秀な中小企業はたくさんいる。「そのため、大手にはノウハウのある足回りやハンドリング・アームなどのプラットフォームとなる部品を担ってもらい、中小企業がアプリケーション開発を行う。そして、メンテンスやサービスを地元の中小企業が行える仕組みを考えています」。
テーマは地産地消。「日本は南北に細長く、地域ごとに農業のやり方もマチマチ。農地も狭く、市場も小さいため大企業は参入してきません。逆に言えば、工業技術を持つ地域の中小企業にとってはイノベーションの宝庫なのです」と、いまこそ農工連携が必要であると訴える。信州大が開発した、ほうれん草収穫ロボットに農水省の予算を付けてもらい、研究から農家への導入の道筋をつけるマッチングも行ってきた。
「オープンイノベーションの場として、スズキに11haの土地を提供頂き、農工連携を行う“磐田シティーファーム”を開所しました。農業用ロボットはまだまだ時間がかりますが、人生を掛けて持続可能な仕組み作りにまい進して行きたい」と意気込みを語ってくれた。このジャンヌ・ダルクの動静の1つ1つに農業用ロボットの未来と日本の農業将来がかかっていると言っても過言ではない。

ベジプロバイダーから目覚めた

ベジプロバイダーから目覚めた

大手メーカーに足回りを提供してもらい、地元企業と開発した農作業運搬用電動ロボット。砂利道でもスムーズに移動できる。

大手メーカーに足回りを提供してもらい、地元企業と開発した農作業運搬用電動ロボット。砂利道でもスムーズに移動できる。

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