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国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ロボット・機械システム部 部長 弓取修二氏

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)ロボット・機械システム部 部長 弓取修二氏

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 
ロボット・機械システム部長 弓取 修二氏に聞く

NEDOにおけるロボット開発関連事業の総額は約60億円。政府全体が約160億円なので、当該分野の3分の2を執行する中核的な実施機関となってきている。
現在、インフラ維持管理・災害対応などの社会課題対応や内閣府のSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)、ロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクトなどに取り組んでいる。
これらは要素技術から実用化までを意識し、足下の社会課題の解決に向け、実証レベルにシフトし社会実装を目指している。
そして、次の一手のために最先端技術に挑戦する「次世代中核ロボット技術開発」にも取り組んでいる。1つはAI(人工知能)。当該事業において100名規模のAIの精鋭を産総研(産業技術総合開発機構)に集め国内初のAI拠点を作った。総務省、文科省、経産省の3省が連携しつつ、ロボット用途も含めAI総合力を発揮させていく。
2つめはセンサー技術。昆虫の持つ匂いに敏感な受容体のような、非常に繊細な嗅覚センサー、軽量人工筋肉、触覚センサーなどの次世代技術開発に取り組んでいる。
インフラ維持管理・災害対応用ロボットは実用化を視野に入れつつある。ドローンを使ったトンネルや橋げたのモニタリングや桜島の噴火口の撮影など実証、検証を繰り返し、精度を高めてきている。
インフラ維持管理・災害対応用ロボットの事業化を一層加速させるため、プロジェクトの実施期間を5年から4年に変更した。更に2年は委託事業、あとの2年は助成事業に変えた。実施会社は残り2年を3分の1~2分の1負担して事業を行うため、実施者の皆さまは大変だご理解とご協力を頂くとともに、実用化への一層の覚悟をもって取り組んで頂くことになる。一日も早く成果を世の中に問うていき、市場形成や当該分野への新たな研究開発投資を促進したいという考えを共有し頑張って頂いている。

—-サービスロボットの国際実証の進捗は?
ロボットスーツHALが昨年11月、医療機器承認の申請が受理された。ドイツではすでに労災保険や一般保険で収載され世界では500台くらい動いている、日本では介護施設など150の施設で350台くらい稼動している。今度の承認で、医療機関も含め、さらに利用機関が増えていくだろう。
脳梗塞の方の歩行のリハビリにHALが使われていて、歩行がスムーズになった訓練を見ている次の患者が目を輝かせていたのが印象的だった。また、前のり車椅子もベルギーでの実証されており、国際実証の成果は上がってきている。
サービスロボットの安全基準はISO13482が決まり整備されてきている。自律移動や装着型では基準が出来てきた。しかし、アームの部分の基準がまだ決まっていない。ロボット革命イニシアティブ協議会のイノベーションWGの中で、さらにサービス支援ロボットの今後の進化について、安全基準も含め議論をして行きたいと考えている。

—-次世代ロボットとAIの関係については?
今後のロボットを社会と一層親和性のある存在にするためにAIは必須である。人間の生活に一歩進めてロボットが入り込み、高度な共同作業、ほっとするサービス、安全からより安心なサービスを提供するためにAIが要る。ロボットのもつ様々な機能を拡張し、さらに優しく、豊かに、高度化してくれるのがAIである。
そして、AI技術の基盤となる、より質の良いデータを取るためのセンサー技術が必要だ。センシングしてデータをとり、考えて環境を認識し、行動をおこすのがロボットだ。データを仕分けしカテゴライズする構造化技術も必要だ。そのストックしたデータと瞬時に照合し、リアルタイムにロボットに伝え、アクションを起こすのもAIの役割だ。

—-日本のロボットの競争力や将来をどう見ているか?
産業用ロボットは世界で一流であるのは確かだ。サービスロボットでは、介護ロボットやウェアラブル、コミュニケーションロボットも出てきたがまだ市場に育っていない。災害対応用ロボットもドローンが出てきたが、市場の拡大はこれからだろう。
経産省は2035年にロボット産業の規模を9・7兆円と予測、その半分はサービスロボットが占める。中でも市場性が高いのが、インフラ維持管理ロボットだと見ている。今後の日本では橋やトンネル、高速道路などのインフラが一気に老朽化し、保守・点検をしなければならないが、圧倒的に人手が不足しているので、インフラ点検ロボットには力を入れて行きたいと考えている。

実用化を加速させるインフラ対応ロボット

実用化を加速させるインフラ対応ロボット

「次世代中核ロボット技術開発」の事業イメージ

「次世代中核ロボット技術開発」の事業イメージ

世界でも一流レベルの産業用ロボット(ファナック提供)

世界でも一流レベルの産業用ロボット(ファナック提供)

 

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