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ロボット政策室長 安田篤氏

ロボット政策室長 安田篤氏

世界一のロボット利活用社会をめざすという、政府の「ロボット新戦略」。その政策展開が具体化してきた。
そこで、経産省のロボット政策室長に現状と今後について解説してもらった。
1.はじめに
2015年2月10日に開催された日本経済再生本部において、「ロボット新戦略」が決定された。それを受けて5月にはロボット新戦略の推進母体となる「ロボット革命イニシアティブ協議会(Robot Revolution Initiative)」が設立され、傘下にワーキンググループを設置、ロボット新戦略の実現に向けた取組を進めている。

2.「ロボット新戦略」に基づく取組の推進
2.1 総論
「ロボット新戦略」では、①センサー、AIなどの技術進歩により、ロボットが「自律化」、「情報端末化」、「ネットワーク化」することにより劇的に変化し、自動車、家電、携帯電話や住居までもがロボット化することにより、②製造現場から日常生活まで、様々な場面でロボットを活用すること、③社会課題の解決やものづくり・サービスの国際競争力の強化を通じて、ロボットが新たな付加価値を生み出す社会を実現すること、を目指している。この実現に向け、①日本を世界のロボットイノベーション拠点とする「ロボット創出力の抜本強化」、②世界一のロボット利活用社会を目指し、日本の津々浦々においてロボットがある日常を実現する「ロボットの活用・普及(ロボットショーケース化)」、③ロボットが相互に接続しデータを自律的に蓄積・活用することを前提としたビジネスを推進するためのルールや国際標準の獲得等に加え、さらに広範な分野への発展を目指す「世界を見据えたロボット革命の展開・発展」、の3つを柱として推進していくこととしている。

2.2 「ロボット革命イニシアティブ協議会」の設立
「ロボット新戦略」の具体化な推進に向け、2015年5月15日に「ロボット革命イニシアティブ協議会(以下、単に「協議会」という。)」が創設された。具体的には、製造・サービス業に加え、農業、医療・介護、建設インフラなど幅広い分野のロボットの作り手・担い手となる関係団体や企業、関係府省庁が参画し、一般社団法人日本機械工業連合会に事務局を置き、創立時会員数226で発足した(2014年11月現在の会員数約350)。協議会は、
①関係者間のマッチング、ベストプラクティスの共有・普及
②国際標準化活動の推進に向けた情報共有、共通課題の整理及び対応策の企画・立案
③情報セキリュティの確保の方策の企画・立案
④国際プロジェクト等の企画・立案
⑤実証実験のための環境整備
⑥人材育成のための企画・立案
⑦関係機関との連携による研究開発・規制改革等の推進
⑧国際連携を含めた関連情報の収集・発信、普及啓発事業の推進等
を具体的な事業目的としている。
協議会の下に、3つのWG(「IoT(Internet of Things)による製造ビジネス変革WG」、「ロボット利活用推進WG」、「ロボットイノベーションWG」)を設置し、具体的課題の検討を行っている。
それぞれのWGでは、
①IoTによる製造業の変革への対処方針等
②重点分野において利活用を加速化させるために必要な分野横断的な具体的な仕組み
③次世代ロボット開発やロボット利活用の裾野を広げるためのロボット開発、・製造・導入改革に向けた取組等
について成果をまとめるべく議論を進めているところである。

2.3 ロボット国際競技大会の開催及びロボットテストフィールドの設置
「ロボット新戦略」においては、分野横断的なアクションプランとして、ロボット国際競技大会、ロボットテストフィールドの設置等が掲げられている。
ロボット国際競技大会については、ロボットの技術開発を加速し、社会実装を進める1つの方法として、単にロボット技術を競うための競技会ではなく、医療・介護、災害対応・インフラ点検、農林水産業、製造業、サービス業等、現実の課題を解決し、実際に役に立つロボット同士を競わせ、多くの人々にその姿を示すこととしている。2015年中に実施体制を整備し、2016年中に具体的な開催形式・競技種目を決定するとともに、2018年にプレ大会を開催し、2020年の本大会へと繋げていく。
ロボットテストフィールドの整備に関しては、具体策の1つとして、2015年4月に「福島浜通りロボット実証区域」が設置された。フィールドロボットを中心に実用化の動きを加速化するため、ロボットの技術開発を行っている企業、大学、研究機関等に対して、福島県内の橋梁、トンネル、ダム・河川、その他山野等を、実証実験の場として提供することで、ロボットの技術開発の促進と実用化を支援している。
また、イノベーション・コースト構想の一環であるロボットテストフィールドについても、関係者間で設立に向けた準備を進めている。

3.おわりに
今後5ヶ年の取組指針である「ロボット新戦略」と、それを推進するための母体である協議会が立ち上がり、これからはまさに「ロボット革命」の実現に向けて具体的な取組を進める段階に入る。引き続き様々な関係者と連携・協力しつつ、取組を着実に推進していきたい。

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