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未来ファクトリー、“ロボットがロボットを組み立てる”
最強ファナックの山梨県忍野村工場見学記

 世界で最強のFAの総合メーカー、ファナック。2015年3月期は7,298 億円の売上高に純利益が2000億円を超えた。営業利益率はなんと41%。脅威の数字をたたき出している源泉のひとつがロボットだ。今、「ロボットがロボットを組み立てている」ラインをほぼ完成させたと聞き、弊紙の70周年を記念して、滅多に見学できない山梨県忍野村のファナック工場群を独占取材してきた。

富士山麓の忍野村の森の中に一際目立つ、黄色のファナック工場群。50万坪に3千人が働く、世界でも有数の自動化工場を揃え、Made in Japan品質の商品を世界中のマーケットに供給している。「当社は基本的にCNC装置、サーボモータなど全て内製化を基本としており、切削加工、板金、プレス・ダイカスト工場などを揃え、全てFA化しています。ロボット組立てもFAの一環です」(同社小坂哲也常務執行役員・生産技術本部長兼ロボット製造本部長)。
ロボットは鉄の鋳物に減速機やモータをネジで組み付け、手首や各アームのユニットを作成し、それらを順次嵌合させ最終的にロボットとなる。その人間の作業をプログラム化し、万能知能ロボットR-2000iを多数用いて、R-2000iの自動組立てラインをほぼ完成させた。「現在、ロボット組立の自動化率は70%。R-2000iは、ほぼ自動で月2000台生産できます。ロボット組立工場は、全モデルを合わせて月5000台作れる能力があります」。
各工場で製造された部品は一旦、ホストコンピュータで制御された自動倉庫に置かれ、15工程のロボットセルで組立てたユニットは倉庫に格納され、次の工程に回されていく。
各工程の組立てロボットは3~6台が交互に動き、ビジョンセンサーと力センサーを駆使し、ネジ止めやギアの装着も、ビジョンセンサーで位置を確認し、力センサーで力加減を調整する。「ロボットは決められた通りに動くので1ヶ月(720時間)休まず動き続けても疲れませんし、間違いません。人のうっかりというミスもなくなります」。人は単純な、長時間労働が苦手だが、ロボットはそこを得意としている。
ファナックのロボットの最大の特徴は、“壊れない”。ここで組み立てたロボットは8年間、ほぼメンテンス・フリーで動くそうだ。「4年に1度バッテリーを換えてあげれば、環境の良い工場では10年以上は動き続けます」。カーメーカーから引っ張りだこなのがわかる。出来上がったロボットは、過剰なくらいの試験運転を経て出荷される。不良品が出荷されることはまずないそうだ。
「今年の早々にロボット組立の自動化率は95%になります。最後にケーブルを組み付ける部分は、人手で行います。ケーブルは顧客ごとに構成が異なるため、ロボット化が難しく、将来の課題で研究中です」。と語ってくれた。
ロボットによる組立てスピードもほぼ最高レベルで動いていて、「だいたい人の動きをロボット化していますが、10キロを超えるドライブシャフトの組み立てなどは人には出来ないロボットならではの垂直型で組み付けています」。
このような生産性の高い組立てラインがあれば、製造業の国際競争力が飛躍することは間違いない。いろいろな製造現場の組立てラインにロボットを導入できるレベルとなってきた。夢の世界であったロボットが自らを組み立てて、新しいロボットが生まれる“未来ファクトリー”を見たようで、あらゆる可能性を秘めており、“ファナック恐るべし”を改めて感じた、忍野村取材であった。
(本紙編集主幹・高橋成知)

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